大人になってから読んだ本の中に、非常に感銘を受ける言葉があった。(お借りします)

 

 『こだわらない、逆らわない、求めない』

 

目に入った瞬間、周りがチカチカして突如言葉の中に取り込まれたように錯覚した。

 

確か、幸せになるため・うまく生きていくための秘訣のような前向きな表現として使われていたのだが、あまりの衝撃にその記憶は定かではない。

 

 

これは、わたし自身の生き様を表している言葉だ。なんて的を得ているのだろう。

 

 

 幼いころから母の機嫌を損ねることが1番の恐れであったわたしにとって、母に何か意見するというのは数日間の無視や叱責、罵倒、睡眠不足を意味するものだった。

 

そのためだろうか、母が決めたことには全て従ってきた。

 

 

いつからだろう、自分には何もこだわりがない。

趣味はない。譲れないものもない。間違っていなくても謝れる。何もかも、ものすごく変でなければいい。どんな人にもある程度好かれる平均的な対応はできる。世界はモノトーン。

人は変わらない、変えようなんて思ったこともない。そのままでいてくれればいい。誰とも距離を詰めようとだなんて1ミリも思わないから。

好きな人はいない。嫌いな人もいない。みんな普通。人も野菜も同じ。悪口やいじめなんて意味がない。対人トラブルは経験がない。人に嫉妬がない。関心がないからライバルでもない。

何事も冷静に対処できてすごいって言われるけど、特に揺れ動くほどの出来事と感情の幅がない。WAISでIQは138だったよ、誰かと話したら何か得られるの?わたし以上にわたしが解るの?すごくばかなふりもできるけどどっちがいい?

好いてくれてありがとう。でもわたしはあなたに無です。それを隠して大好きなふりも上手にできます。

明るい性格も、人見知りだけど頑張ってる様子も、社交的な感じも、清楚な雰囲気も、でも実はちょっと世の中知ってるんだよねのエッセンスも、誰かを巻き込む前向きなパワーも、どんな調味料もうまく混ぜながら、相手の好きな味を出せるよ。どれがお好みなんだろう、一瞬でわかるからちょっとだけこっち向いてみてごらん。

 

 

6歳のころから、人間とは心の中のどよどよしたものを一人できれいに整理して生きていくものなのだと確かに自覚していたけれど、もしかしたらこんなに複雑なのはわたしだけなのかな。

みんなは、もっとドラマの登場人物たちみたいに、いくつかだけの性格できれいに構成されているの?

みんなは、毎日、平均して何個うそをつくの?

 

 

もっと自由に自分でいていいって知らなかった。

自分で決めていいって知らなかったの。