少し前の話になりますが、仕事でASDの特性を多く持つ方と関わったことがあります。
その方とお話しした時の話し方や振る舞い方などがまるで元夫とそっくりで、
「この人はASDの特性を持っている人なんだろうなぁ」とすぐに勘付きました。
もしかしたら間違いかもしれないのでしばらくは静観していましたが、やはり予想通りの言動を起こすので、
疑惑は確信に変わりました。
説明しても理解していないのに理解したフリをしていたり(外モード全開で取り繕っている)、
その後理解しているかを確認したら「言っている意味が全く分かりませんでした。」と言ってみたり(こういったら相手がどう思うかを想像できなくて思った事をそのまま言う)、
何かの確認で返事を求めたら上の空で生返事だったり(違う事に過集中)、
複数のことを教えたらフリーズして動けなくなったり(パニックを起こしている)、
教えたことがなかなかできなくて、こちらが修正しても治らなかったり(本人のやり方にこだわりがある)、
かなりASDの特性が出ていました。
部署一同で、この方とどう接していくのがいいのか頭を悩ませました。
私はこの方が元夫とそっくりなこと、おそらくASDグレーゾーンだろうことを上司や同僚に話しました。
上司も同僚も私の離婚劇の一部始終を見ていて、元夫がASDの特性を持っていることを知っています。
また発達障害についての知識を詳しく持っている同僚もいます。
だからでしょうか。
私が話したことで、この方の接し方は自然と固まっていきました。
説明する時に複数の事を詰め込まない。
もしくは説明する必要がある時は、復唱させるなどして確認する。
誰か一人だけがこの方と密に接することのないようにする。
この方がいない時に誰かから愚痴が出てきたときは、共感し合ってストレスを溜めないようにする。
そうやって、この方と関わる数ヶ月(事前に関わる期間が決まっていました。)を乗り切りました。
これって、カサンドラ症候群に陥らないための言動そのものだったと思います。
ASDの特性を理解していなければ、きっと「なんで?」という疑問ばかりが出てきて、
皆で大きなストレスを抱えることになったことと思います。
だけど、ASDの特性があるからこの方はこういう言動を取っているに過ぎない。
そこに多くを求めすぎない。
その方に悪気があるわけではない。
むしろこの方自身が生き辛さを感じているかもしれない。
これらのことを、繰り返し自分たちに言い聞かせました。
私も元夫との経験からこの方の言動がどうしてこうなるのかが想像できたので、そこまでストレスを感じませんでした。
つい期待してしまって裏切られたように感じてがっかりしたこともありましたが、
ASDの特性という知識が私を冷静にさせました。
部署一同が乗り越えられたのは、私の部署が仲が良くて風通しが良いこと、
医療関係の仕事ゆえに皆がASDについての知識を取り入れやすかったという好条件はあったと思います。
それでも、ASDの特性の知識をいくら持っていても、実際にそれを経験してみないと、
それがASDの特性によるものなのかどうかは意外なくらいにわからないものです。
発達障害についての知識を豊富に持っている同僚ですら、これまで深く関わったことがなかったので、
私に言われるまで気付かなかったそうです。
(頭のいい同僚なので、私が元夫と同じだと話した時点で、その方やその方の接し方を理解したようでした。)
実際、私もカウンセラーさんから元夫がASDグレーゾーンの指摘をされなければ、
今も元夫がASDグレーゾーンと気付くことはできていなかったと思います。
それくらい、実際に経験した上で、第三者から客観的な意見をもらわないとわからないものです。
そう思うと、どんな経験も無駄なものはないなぁ、と思います。
もし今まさにカサンドラ症候群に陥っている方がこのブログを読んで下さっているなら、
これ以上一人で悩まないでほしい。
自分自身がカサンドラかどうかわからないけど、とにかく違和感から抜け出せずにもやもやしてストレス状態が続いている方がこのブログを読んで下さっているなら、
これ以上一人で悩まないでほしい。
誰かに吐き出してほしい。
それが何が原因によるものなのか、話すことでわかってくることがあります。
絶対にわかってくれる人がいる。
諦めないでほしい。
今回の経験を通して、より強くそう思うようになりました。
今回のブログは最後、熱くなってしまいました。
でも、届く人には届いてほしい。
ASDやカサンドラの知識が増える人がもっともっと増えてほしい。
そう思っています。