ライブまであと2ヶ月その間は、本当にバンドに熱中していた。

学校が終われば、家にすぐ帰りギターを弾いて、歌を歌った。
バイトがあれば、バイトをこなし夜22時ごろから練習を始めて親からのクレームを受けた。
そんな日々がとても大好きだった。楽しかった。

でも、この頃僕に取って不必要なものがあった。

それが写真部での活動だった。

元々、軽音部がないから、演劇部がないからそんな理由で入った部活動に熱中できるわけもなく、
さらにミーティングのあった月曜日は、バイトの日でもあったため、
ミーティングをこなしてから急いでバイトへ向かうのも億劫だった。

そんな理由で部活をサボりがちになり、
遂には全く顔を出さなくなった。
そんな日々を続けていたから当然、顧問に呼び出しをくらい、ちゃんと怒られて、
"もう行きません"と伝えた
呆れたようにそれ以上の会話はなく、そのまま退部の流れになった。

部活には所属していないといけない決まりがあったが、"父子家庭のため、バイトをしてお金を入れないといけないので、部活をやる余裕がない"
そんな風に学校には伝えた。
もちろん、こんな話は嘘で
バイトで稼いでいたお金はバンドのスタジオ代や、楽器関連の消耗品等に使うお金に回った。


授業中も、真面目に授業を受けているふりをして、袖に潜ませたウォークマンを耳に当ててずっと音楽を聴いていた。
"真っ赤な空を見ただろうか"
知らない曲だったこともあり、一日中聴いていた。
早くこの歌を歌えるようになりたい
その一心で音楽を聴き、小さく口ずさんだりして歌詞を覚えた。



この頃からきっと、生活の中心がバンドになっていったんだと思う。
その他の身の回りのことはバンドを続けるためにとりあえずこなしているそんな感覚だった。