僕たち3人は初めてスタジオに入って合わせようということになった。

バンドで合わせたい曲を、僕が一方的に考えて2人に伝えた。
僕が決めた2曲は、
Galileo Galileiの"青い栞"
高橋優の"素晴らしき日常"

という曲だった。
バンドというものに対する理解が薄かった僕は、3人でこの2曲を再現できるものと思っていたけど、3ピースバンドでやるにはとても再現しづらい2曲だった。

選んだスタジオは、僕が弾き語りで初ライブをしたスタジオと同じスタジオだった。

スタジオに入り、セッティングをする。
始めてだったこともあり、セッティングには30分近い時間を要した。
そして、ドラムのカウントで演奏は始まった。


僕のギターはボロボロだった。
ドラムにリズムが合わないし、
ドラムの音が大きくて声は全く通らなかった。

"バンドって難しいな…"
こういう気持ちは今だってあるのだけど、この頃はぼんやりとそんなことを思っていた。










スタジオでの練習を終え、フードコートで3人で某チェーン店の釜揚げうどんをすすりながら
"バンド名"を考えた。

どうやって考えたらいいのか分からなかった僕たちは、
バンド名に合いそうなかっこいい雰囲気の英単語をそれぞれ、メモ用紙に書いて、メモ用紙を折り畳む。

そして、ランダムに2枚を選んだ。
その単語をくっつけてバンド名にしようと考えたのだ。





"careless"   ケアレス

"minister" ミニスター




選ばれたのこの2単語だった。

"careless minister" ケアレスミニスター

直訳はうっかりした大臣
もはや意味なんてどうでもよかった。
僕たちはこの響きをほんの少しだけ気に入った。


僕たちはこの名前を背負うことを決めた。

"careless minister"

僕たち3人についた新しい名前だった。