絶対にやって欲しくないこと。
バレエ教師があまり言わないことでも、そのほかの関係者が言っていることってあります。
教師は、実際の現場で、身体の連動性を(動作分析できればの話ですが)加味してサジェスチョンしますが「身体はこう動くはず」という発想が元の場合、怪我に繋がってくることもあります。
引き上げを例に、大切なことを考えていきましょう。
ケーススタディ 引き上げと床を押す の関係性
まず、多くの教師が求める、床を押すとは、どのようなことを言っているのでしょう。
考え方の相違はあるかと思いますが、大げさにいうとこんな感じになります。
a,身体が宙に浮いている
↓
b,その分、身体全体を引き延ばすことで、床を押す
a,はつまり、引き上げを指し、b,はつまり、床を押すことを言っています。
なぜ、このような順番になるのでしょう?
まず、引き上げをし、関節にかかる負荷を分散させます。
そして、スペーシングをします。
そうすることで、関節の軟部組織を磨耗することを防ぎつつ、可動性を高めるのです。
この関節のスペーシングができていない場合、関節自体に負荷がかかりますから、痛み、炎症、可動性が上がらない、などの問題が起こります。
なので、教師が初歩の段階から「引き上げ」を重視することは、理にかなっています。
これができていないと、アンディオールできませんし、さらに、痛めやすい身体の状態であるからです。
床を押すことによって、引き上げができる場合とそうでない場合。
初歩の段階において「床を押す」というサジェスチョンは、最初から、つまり、ポジションに立った時に指示するというよりも(段階によっては異なりますが、あくまで、初歩の段階において)、ジャンプでの着地やピルエット、つまり、プリエやルルベといった、動作においてがスタートかと思います。
その後、引き上げが体感でわかるようになってきた段階から、バーでポジションに立った時に「床を押して」と言われることは、あるかと思います。
どちらが先か。小さいことのように思えて、とても大きな問題です。
床を押す→引き上げができる
という発想は、すでに、引き上げの体感がある人へのサジェスチョンになります。
確かに、引き上げができる人にとっては、床を押すことで、圧が分散し、引き上げに繋がることはあります。
ただ、バレエの考え方とは、ちょっと違いますね。
圧は分散するけど、それがバレエの引き上げかと言われたら、ちょっと違いますが、できないより、できる方がいいです。
圧が分散しない状態で、いつまでもやっていると、怪我を引き起こしやすくなるので。
では、床を押す→引き上げ の順番をしては、いけない場合。
それは、引き上げの感覚がないケース。
要は、引き上げの感覚がないわけですから、物理的に、床から頭のてっぺんまでのスペースでなんとかしようとするわけです。
つまり、スペースが限られている。
そういう人が、床を押すことで引き上げをしようとすると、どこかに圧を分散させようとしたり、その中で、尺が変わらぬパーツを、配列しなければならないので、バレエでは、やってはいけない現象が多発します。
緊急事態発生。
どんなことが起こるでしょう。
・付け根をひく
・脛を後方に倒す=ロールアウトする
・胸郭を前方に突き出す
・骨盤が前傾する
・脚が割れる=センタリングできない
・外腿のオーバーユースと使い方問題=ショートに使ってしまう。
・腹筋、背筋が使えない
まだまだ、あげようと思えば挙げられますが、ざっくりこんな感じ。
まあまあ、こんな状態では、アンディオールの騒ぎでは、ありません。
感覚がすでにある人に対してとない場合では、優先すべきを考える必要があるということ。
引き上げがわからない
↓
床を押せば、引きあがる
そう言った意見を取り入れるのであれば、まず、自分自身に感覚があるのかどうか、確認する必要があります。
まして
引き上げの仕方がわかりません、という質問に対し、床を押すことで引き上げができます、というには、私は、上達云々の前に、危ないんじゃないかな、と思います。
皆さんも、考えてみてくださいね。
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