2016 リオデジャネイロ・オリンピックは今日の「閉会式」で幕を閉じた。
日本代表がロンドン大会の38個を上回る41個(金12.銀8.銅21.)を獲得した「リオ五輪」。数々のドラマを目にすることができた。
競泳男子個人メドレーの「金」「銅」に始まり、体操男子団体の「金」、連日の柔道でのメダル獲得。テニス男子シングルス「錦織圭」選手の「銅」、女子で初の「四連覇」を成し得た「伊調
馨」選手の「金」、惜しくも「銀」に終わった日本選手団主将の「吉田沙保里」選手、陸上男子400mリレーの「銀」など、書ききれないほど沢山の「笑顔」と「涙」、普段はスポーツ観戦にあまり興味のない人も魅了するのが、4年に一度の「オリンピック」なのだ。
また今回はメダルを獲得した選手のコメントに対し、ネットで様々な意見が飛び交ったことも特徴の一つかもしれない。
まず柔道の「銅メダルで謝罪」の是非をめぐる議論(1)。きっかけは、柔道女子の「近藤亜美」選手や男子の「永瀬貴規」選手が銅メダルを獲得したことについて、「申し訳ない気持ちでいっぱいです」「金しか狙っていなかった」などと悔しがった。
レスリング女子53キロ級で銀メダルを獲得した「吉田沙保里」選手は試合後、「日本選手の主将として、金メダル取らないといけないところだったのに、ごめんなさい。たくさんの方に応援していただいたのに、銀メダルで終わってしまって申し訳ないです」と涙で語った(2)。
対照的だったのは「女子マラソン」のレース後の「福士加代子」選手のコメント。
「金メダル取れなかったあ~ ほんとしんどかったあ! ―中略― オリンピックのマラソンは出るもんだね。楽しいよ。苦しいけど。もう泣きたい」
このコメントに対しネットは大炎上した。
・「金と取れなかった~」は銀か銅の人が言うセリフ!
・14位の人は「全然ダメでした」とか「力の差を感じました」じゃないのか!
・惨敗したのに「楽しい」なんて口が裂けても言えない
・五輪出場を自分のためだけの記念レースだと思い込んでいたのだろう…
・聞いていて本当に腹が立った…
この結果で笑みを浮かべメダル云々を口にするのは余りに品がないと凄まじい非難を浴びせられた(3)。
個人的な意見としては、メダルの色は時の運。オリンピックに出場すれば「オリンピアン」と敬称で呼ばれ、3位以内に入れば「メダリスト」と称賛される。各々の選手の「人生の一コマに対する各自の総括」に対し、他人がとやかく言うのは如何なものかと思ってしまう。
色々話題になったメダリスト達だが、一番私達の「涙腺」をゆるませたのは卓球女子の「福原愛」選手のコメントかもしれない。彼女のコメントにNHKの上原光紀アナが「もらい泣き」したことでも話題になった(4)。
彼女が「本当に…苦しい…オリンピックでした」(5)と語るように、彼女は女子シングルスの予選(8月6日)に始まり、女子団体の決勝(8月16日)までの10日間に個人戦5試合、団体戦4試合の合計「9試合(25ゲーム)」を戦った。
「福原愛」選手はシングルス3位決定戦でメダルを逃し、気持ちを切り替え向かえた団体戦「準決勝」。
世界ランク10位のドイツにセット数「2-3」で敗れた。その第5ゲーム、彼女は「エッジボール」によってハン・インに敗れた。 観ていて辛かったのは試合直後のインタビュー、「福原愛」選手は「ダブルスも個人も落とした。今日の負けの原因は全て私にあります」(6)と一人で責任を背負った。
エッジボール(球が相手サイドの台の角に当たって得点となる)はどんな名選手でも返すことは不可能と言われている。最後の1点をエッジボールで取られてしまったことは、まさに「不運」。彼女も「そういったボール(エッジボールやネットイン)がすごく多かったんです…」(7)と語ったように、卓球女子団体の勝負に関わる重要な局面で「エッジボール」や「ネットイン(ネットをかすめて相手サイドに入ってしまうこと)」が多かった気がする。
卓球の世界で、エッジボールやネットインは、「偶然に起こる得点」として、点を入れた側が手をあげたり会釈をしたりして謝罪の意を示すのが基本中の基本なマナーだ。そして試合が終わったらまず相手選手、審判と握手を交わし互いの健闘を称えるのが何よりも先だと言われる。ドイツのハン・インがそれを知らないわけがない。にもかかわらず、ハン・インはエッジボールで点を取ると、叫び声と共に両手を挙げて床に寝っ転がるや、自分サイドに駆け寄りコーチたちと抱き合って大はしゃぎして勝利を喜んだ(8)。最後の球が台の側面に当たっていれば「サイドボール」となり、「福原愛」選手の得点となっていた。「福原愛」選手は「審議」を求め「ハン・インとの握」手を拒否した。
卓球台の上面は長さ2.74m、幅1.525mの長方形で、地面より76cmの高さに水平に位置し、ネットは台から15.25cmの高さ。 今回使用された「卓球台」は日本製だそうだ。4年後の東京五輪にはエッジやネットに「センサー」が付けられ超小型カメラが台の各所に内蔵されているのかもしれない。
しかし日本チームは気持ちを奮い立たせて3位決定戦でシンガポールを3-1で破り銅メダルを獲得した。
「やはり神様はいるんだな」「足を引っ張ってばかりで…みんなに感謝しています」
ずっと我慢していた「涙」が堰を切って流れた。そこには「泣き虫愛ちゃん」が居た。なんか眩しかった。
「メダル取れてよかったです」「3人で勝ち取った勝利です」と彼女は強調した。
ドイツ代表女子は、3人中2人(ハン・イン、シャン・シャオナ)が帰化中国人。シンガポールは全員が中国からの帰化選手。シンガポールでは「帰化中国人」の活躍に対し、賛否の意見があると報じられている(9)。
活躍を応援する人ももちろんいるが国民の反応は冷ややか、メダリストの全員が外国籍からの帰化選手だったからだ。
リオ五輪では、シンガポールから男女含めて5人の卓球選手が出場しるが、全員が中国からの帰化選手である。
シンガポールでは、以前から帰化選手に風当たりはあったそうだが、日本に敗れメダルを逃したことに対しウェブメディア等が…
・シンガポールが中国から買った卓球チームは、自国で育成された日本に負けた。
・帰化選手がメダルをとるより、自国生まれ選手が正々堂々と戦うことを誇りに思う。
など議論が沸き起こっている(9)。
既に「リオ五輪のメダリスト達」を題材に、多くの出版社やスポーツライターが書籍化を計画しているだろう。そしてその中のいくつかは「映像化」されるのかもしれない。
やはり見てみたいのは、「卓球女子団体」。 「ストーリー性」は抜群である。
主役は勿論「福原愛」選手、支える脇役は世界ランキング6位の「石川佳純」選手と度胸満点15歳の「伊藤美誠」選手。
ヒール役はドイツ、シンガポールの帰化中国人選手。
見所は何と言っても「3位決定戦」のシンガポール戦。
原作のないハリウッド映画なら第4ゲームで「伊藤美誠」選手が敗れ、最終ゲームで接戦の末「石川佳純」選手がシンガポールの帰化中国人選手を打ち負かすというストーリーなってしまいそうだが、「泣き虫愛ちゃん」に味方した「卓球の神様」の書いた脚本は、お姉さん選手二人の目の前で15歳の「美誠ちゃん」がヒール役を叩き潰すというものだった。
お姉さん二人は抱き合って勝利を喜び、ずっと泣くのを我慢していた「福原愛」選手は「泣き虫愛ちゃん」に変貌した。
これが良い… 「福原愛」には「涙」が似合う。
映画のタイトルは『涙の銅メダル・「福原愛」リオの10日間』かな…
中国で「瓷娃娃(磁器の人形)」の愛称で絶大な人気を誇る[福原愛」選手。彼女はリオに入る前、銀メダルを獲得したロンドン五輪とはメダルの色を換えたいと繰り返し口にしていた。つまり目標はロンドン超えの「金メダル」。
今回結果は銅メダルに終わったが、その表情にはうれしさと安堵の色がにじんでいた。インタビューのたびに声を震わせていた福原選手だが、中国メディアの質問に笑いながら答えたそうだ(10)。
「銅メダルも金に相当する。だって、銅の字を分解すると、『金と同じ』じゃない?」。
流石だ、「主役」のコメントは深い。
そうだ、映画のタイトルを代えよう! 『
涙の「金と同じ」の銅メダル 』に…
nico
参考・引用
(1)柔道「銅で謝罪」論争が延焼中
http://www.j-cast.com/2016/08/17275464.html
(2)「銀」で号泣の吉田沙保里、「ごめんなさい」繰り返す
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160819-00000519-san-spo
(3)女子マラソンで惨敗した福士加代子の発言は、本当に「KY」なのか
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160816-00000027-zdn_mkt-bus_all
(4)愛ちゃん涙のインタビューにNHKの上原光紀アナがもらい泣き。
http://twitterism.net/archives/1887
(5)卓球日本女子 涙の銅メダル 愛「本当に苦しいオリンピックでした」
http://rio.headlines.yahoo.co.jp/rio/hl?a=20160816-00000137-spnannex-spo
(6)愛、悲運のエッジボール「負けの責任は私にある」
http://m.sponichi.co.jp/sports/news/2016/08/15/kiji/K20160815013172580.html
(7)福原「やはり神様はいるんだな」
http://rio.yahoo.co.jp/column/detail/201608170001-spnavi
(8)【卓球女子団体】福原愛も唖然……エッジボールに大喜び ハン・インのありえない非礼!
http://getnews.jp/archives/1507026
(9)五輪で日本と3位を争ったシンガポール卓球は全員が中国帰化選手
http://www.huffingtonpost.jp/uniuni/olympics-rio_b_11623748.html
(10)福原愛の中国語、ついに中国人を超えた!?銅メダル獲得後の“あるコメント”が話題に
https://news.nifty.com/article/world/china/12181-147850/