先日、抗がん剤の副作用を「国」に報告していないとして、「厚労省」は大手製薬会社「ファイザー」に対し「業務改善命令」を出す方針を固めたと報じられていた(1)。
以下 記事抜粋
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
▼ファイザーが製造・販売する抗がん剤などの副作用を期限内に国に報告していなかったとして、厚生労働省が医薬品医療機器法(旧薬事法)違反で同社に業務改善命令を出す方針を固めたことが8月27日、関係者への取材で分かった。
▼報告の遅れは昨年までの6年間に約200件超に上るという。同社の弁明を聞いた上で、9月に最終的な処分を行う見通し。
▼関係者によると、同社は製造・販売している抗がん剤やリューマチ薬などを服用した患者の重い副作用について、営業担当社員が安全管理担当部署に報告していなかったり、医療機関から寄せられた副作用情報を見落としたりしていたケースがあった。
▼同省は調査の結果、内部報告の体制に不備があったとして、業務改善命令を出すことが必要と判断したとみられる。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
「医薬品医療機器法」では、重い副作用は30日以内に国へ報告することが義務付けられている。
そして医薬品添付文書やインタビューフォームに記載される「副作用発現率」は、「承認時」までの調査及び「市販後」の使用成績調査により作成される。
製薬業界では営業担当社員のことをMR(Medical Representative 「医薬情報担当者」)と称する。つまり、「市販後」の使用成績調査は製薬会社のMRによってなされる場合も含まれる。
「抗がん剤やリューマチ薬など…」、この「など」には精神科治療薬は含んでいるのか?
製薬会社にとっては「患者の重い副作用」は、「聞きたくない報告」なのだろう…
精神医療の現場では患者が副作用による辛い症状を訴えても、精神科医は「症状の悪化」と信じ込み、MRは報告を怠る。
公表されている「副作用発現率」は意図的に低く操作されているという意見に製薬会社はどう答えるのだろうか。
「ファイザー」が製造・販売するSSRIとベンゾジアゼピン系睡眠薬の「インタビューフォーム」で副作用の発現率を調べた。
ジェイゾロフト(インタビューフォーム抜粋)(2)
「副作用の概要 」
承認時までのうつ病・うつ状態患者及びパニック障害患者を対象とした国内臨床試験において、本剤が投与された総症例 1478 例中 881 例(59.6%)に 2075 件の副作用が発現した。
主な副作用は、悪心(18.9%)、傾眠(15.2%)、口内乾燥(9.3%)、頭痛(7.8%)、下痢(6.4%)、浮動性めまい(5.0%)等であった。
ハルシオン(インタビューフォーム抜粋)(3)
「副作用の概要」
調査症例数 12,930 例中、副作用発現症例は 338 例(2.61%)であり、副作用発現件数は延べ 700件であった。その主なものは、めまい・ふらつき 164 件(1.27%)、眠気 155 件(1.20%)、倦怠感 100 件(0.77%)、頭痛・頭重 91 件(0.70%)等であった。
ジェイゾロフト(SSRI)を例にすれば、この杜撰な報告でも「副作用発現率」が59.6%…
もし精神科医が「副作用」を認め適切に報告し、MRが社内の安全管理担当部署に報告していれば、発現率はどれほど上昇するのだろうか…
70%? 80%かも…
これは「副作用」ではなく、紛れもなく「作用」である。
故に私は「向精神薬を飲めばもれなく副作用が…」と呟くのです…
nico
(1)ファイザーに業務改善命令へ 副作用を期限内に「国に報告せず」 厚生労働省
http://www.sankei.com/affairs/news/150827/afr1508270035-n1.html
(2)ジェイゾロフト(インタビューフォーム)
file:///C:/Users/user/Downloads/1179046F1028.pdf
(3)ハルシオン(インタビューフォーム)
file:///C:/Users/user/Downloads/671450_1124007F1020_3_1F.pdf