残念だが、たった16分で決着がついてしまった試合だった。
前半2分34秒、「ラピノ」のコーナーキック。
日本はアメリカが高さを活かしたボールを蹴り込むと思い、ゴール前に集中して防御の布陣を組んだ。
佐々木監督は、「ロイド」のポジションに異変を感じ、大声を出し指示するが、歓声にかき消される…
「ラピノ」はゴール前に全速力で走り込む「ロイド」目がけて低いボールを蹴った。
大野忍がカットしようとしたが届かず、岩清水梓は背後から駆け込むロイドに全く気付かなかった。
そして「カーリ・ロイド」は、この日1点目を「なでしこのゴール」に蹴り込んだ。
そして5分「ロイド」、14分「ホリデー」、止めは16分「カーリ・ロイド」ハットトリック!!
3点目は岩清水梓のクリア・ミス、4点目は海堀あゆみのポジション・ミスだった…
前半の16分で「0対4」。
私は「0対4」になったとき、もう勝負はついたと思った。
そして、男子W杯ブラジル大会、準決勝「ブラジルvsドイツ」、通称「ミネイロンの惨劇(2)」を思い出した。
2014年7月8日「ブラジル 1 - 7ドイツ」場所はミネイロン… あのブラジルでさえ、一度「歯車」が狂えば7失点してしまう。 それが「サッカー」という競技である。
アメリカのキーパー「ソロ」からは、得点できても「2点」が限度だと感じた…
実際なでしこは、その後2得点した。これは凄いことである、準決勝までの6試合で「1失点」しか許していないソロからの2得点である。
今思うと、サッカーの神様は「4年間」の長い台本を書いたのでは… という気持ちになる。
その「最終話」は、7月5日の「決勝戦」で用意されていた。
アメリカは「なでしこと決勝戦」を戦いたかった。 アメリカにとっては、4年前の決勝戦のリベンジ。
2回のワールドカップを手にしているアメリカだが、ワンバックなどの主力選手は、まだその栄光を手にしていなかった。
日本を倒し、オリンピックに続いてワールドカップを制することが、アメリカの「ゴール」だった。
だから決勝の対戦相手は「日本」でなければならなかった。
アメリカは開始直後から、「なでしこ」を潰しにかかった。
岩清水は帰国後の会見で「今回のワールドカップは最後の悔しさしかない。アメリカのスピードやパワー、やってくることも分かっていたが、今まで体感していたスピードやパワーをはるかに超えていたのが今回のアメリカだった」と決勝を振り返った(1)。
ところで、「ニコラス予想」には理由があった。
準々決勝は、「中国 vs アメリカ」、「ドイツ vs フランス」、「ブラジル vs 日本」、「ノルウェー vs カナダ」
準 決 勝は、「アメリカ vs ドイツ」、 「日本 vs カナダ」
そして決勝が「日本vs ドイツ」が「ニコラス予想」
違っていたのは「オーストラリア vs 日本」、「イングランド vs カナダ」「日本 vs イングランド」「日本vsアメリカ」の4試合。
なでしこにとっては同じアジア枠の「オーストラリア」より「ブラジル」の方が戦いやすい。
最近ランキングを上げている「ヨーロッパ」の強豪より「カナダ」と闘う方が勝算は高い。
実際に「イングランド」には最後まで苦しめられた。
そして「決勝戦」…
リベンジに燃える「アメリカ」より、前回大会でも「なでしこ」が勝利し、苦手意識をもっている「ドイツ」の方が連覇の可能性が高いと思ったのが、「ニコラス予想」の理由であった。
決勝の「なでしこ敗戦」は、準決勝「アメリカ vs ドイツ」の、ドイツ「シャシッチ」のPK外し(3)から始まっていたのかもしれない。
後半15分にドイツがPKを獲得したが、FWシャシッチが左へ外して流れが米国に傾いた。同24分にFWモーガンがペナルティーエリア内で倒されて、今度は米国がPKを獲得。「ロイド」が確実に決めて先制した…
スポーツ結果に「もしも」は禁物ではあるが、結果が「逆」であったら「決勝戦」は「日本vsドイツ」であったろう。
興味深いデータがあった。決勝のスタッツによると「ボール支配率」は、「日本 52%:48% アメリカ」
支配率はアメリカを凌いでいた。そして「イエローカード」が「日本 2:0 アメリカ」。
カードを受けたのが途中出場の岩渕真奈と澤 穂希だった、二人とも試合の流れを変えようと必死だった…
準決勝2試合と3位決定戦の3試合の合計得点が「6点」。
決勝1試合で両チーム合わせて「7点」。
これが同じ「競技」なのかと感じさせられる。 サッカーは「怖い」、しかし「面白い」スポーツだ…
2015年、6月6日から7月5日にかけての一か月。サッカーファンには最高の時間でした。
グループリーグで敗退すれば、「3試合」しか観戦できません。
でも、Best4に残った国は「7試合」も楽しめました!!
「なでしこ」ありがとう。 そしてお疲れさまでした。
次はオリンピックですね…
nico
(1)なでしこ帰国 監督とキャプテンが会見
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150707/k10010142451000.html
(2)ミネイロンの惨劇
ミネイロンの惨劇は、2014年7月8日にベロオリゾンテのエスタジオ・ゴベルナドール・マガリャンイス・ピント(通称ミネイロン)で行われた、FIFAワールドカップ・ブラジル大会(2回目)の準決勝、ブラジル対ドイツの試合でブラジルが1-7の惨敗を喫したことを指す通称である。(Wikipedia抜粋)
(3)準決勝「アメリカ vs ドイツ」
米国、ドイツともに互角の戦いで、0-0の後半15分にドイツがPKを獲得したが、FWシャシッチが左へ外して流れが米国に傾いた。同24分にFWモーガンがペナルティーエリア内で倒されて、今度は米国がPKを獲得。FWロイドが確実に決めて先制し、同39分にはMFオヘーラがクロスに飛び込んで追加点を挙げた。