犬に噛まれたら犬を噛みかえすのか・・・ | あなたは「幸せ」ですか それとも「不幸せ」ですか...  ニコラスの呟き...

あなたは「幸せ」ですか それとも「不幸せ」ですか...  ニコラスの呟き...

いつの間にか前期高齢者になっていました。65年以上生きてみると 色んな事を経験しました。「達成」「失望」「離別」「病気」...
それぞれの経験に意味があると最近思います。お会いすることのない、どなた様かのお役にたてば幸いです。      

先日またリオに噛まれた。傷が深かったので血が流れ出ていた・・・



傷口の消毒をしながら わたしは「怒り」を鎮めていた。



その日は一日中ブルーな気持ちで過ごしたのだった・・・



次の日、現在(いま)しか興味のないリオは

昨日噛んだことなど何もなかったように遊んでくれと膝の上に乗ってきた。

まだ右手の傷口は腫れていたので思わずリオに

「昨日、お父さんの手 噛んだの誰や、一回 リオの手 噛んだろか・・・」と話しかけていた。



その時ふと 以前読んだことのある宗文洲さん(1)の文章の一節を思い出していた・・・



それは「寛容は自分のためである」という題名の散文でした。



中国文化大革命時代、宗文洲さんのご家族は資本家や地主であったため酷く差別され、お父様が二十歳そこそこの紅衛兵達によく殴られました。鄧小平が登場すると全てが普通どおりになり、非に気付いた紅衛兵達は普通の青年達に戻りました。罪悪感からか、道を歩くその父親と出会うと、元紅衛兵が彼を避けるようになりました。これに気付いたお父様がむしろ早足で彼らに近付き、「もう過去のことだから気にしないでください」といって回りました。

その中にはお父様の顔を殴った人もいれば、足を蹴った人もいたそうです。ご家族は「あんたは忘れっぽい。殴られたのはつい最近のことではないか、彼らも同じ目に遭わせてやりたい」と・・・

するとそのお父様がある言葉でご家族を黙らせたそうです。

「お前達は犬に噛まれたら犬を噛み返せるか」



理不尽な目に遭って復讐したい時、この言葉はいつも宗文洲さんの心にあったそうです。

人を犬に例えるなんて日本的感覚でいうとあまりいい表現ではありませんが・・・

しかし ご家族はこの言葉に説得されたのは事実だったという話です。



私も精神科に通院し始めた当時、一連の騒動の発端であった「兄」の言動に対し生憤りを覚え、正直「復讐心」を抱いていました。



そのあたりの詳細は記事「他傷願望 わたしの場合」にhttp://ameblo.jp/nicolas2012/entry-11301698349.html

に詳しく書いています。



しかし今現在、その感情はまったくありません。



思い返せば、「復讐心=怒り」が消え去ったころから わたしの病状は回復に向かい始めたと思っています。



宋文洲さんはタイトルが示すように「寛容」とは他者のためではなく「自分自身」のためであると述べられていました。



わたしの場合を振り返ってみても、決して兄のために「許そう」と思ったわけではなく、自分自身が「恨み」の感情と決別する為にたどり着いた境地でした。



過去に記事も書きましたが、現在の日本における精神医療の諸問題の発端を作った「上島氏」「野村氏」「樋口氏」に関しても怒りではなく「憐れみ」という感情に変化しています。



また、直接わたしに対しインフォームド・コンセントも全くなく危険なクスリを処方し続けたA医師・B医師に関してもレセプトを入手した現在も、虚偽記載をしてまでお金が欲しい、または長年に渡り、現在の医療報酬制度を悪用して収入を維持することに何の疑問も感じる事のないだろう彼らに対しても「憐れみ」を感じています。



因果応報、因縁果の法則 必ず彼ら自身、また彼らの子孫に降りかかる災難に対する「憐れみ」に・・・



宋文洲さんのお父様が家族に伝えたメッセージ

「寛容は自分のためである」



寛容とは相手を「認めること」でも「許すこと」でもない。



一個人の感情の、言い換えれば「個人的・内発的」な思考の整理であるのだと・・・



理不尽な得意先、パワハラをする上司、批判をする同僚、悪口をいう友人、嫌いな国家、対立する宗教・組織。



反精神医療においても薬害と認めない厚労省、無視することの出来ない副作用があることを知っているのに危険なクスリを生産し続ける製薬会社、患者の訴えを訊こうともせず「心の病」が不治の病だと信じる精神科医。



このような対象に「怒り」を感じ続ける一番の「被害者」は、怒りを感じるその人「自身」である。



わたしを噛んだリオを噛み返したところで



リオはまた わたしを噛むだろう・・・



不毛な「負の連鎖」



気持ちを整理して、膝の上で眠るリオの頭を撫でていたほうが、わたしは今幸せを感じている。



Nico







(1)宋文洲(そう ぶんしゅう)

ソフトブレーン株式会社創業者であり、現在は同社マネージメント・アドバイザー。経営コンサルタント、経済評論家。

1963年生まれ。中国山東省栄成市出身。19857月中国東北大学工学部卒業。19859月中国国費留学生として来日、19864月北海道大学大学院に入学。北海道大学大学院を修了した宋は、天安門事件の影響によりそのまま北海道に在住。札幌市内の会社に就職したものの、3か月で倒産してしまう。

就職した会社が倒産したのをきっかけに、自身が大学時代に開発した土木解析ソフトの販売を始める。この解析ソフトはゼネコンや建設コンサルタントを中心に売れた。この時に得た資金を元にその札幌市内で、ソフトブレーン社を設立した。

Wikipedia抜粋)