ショパン「幻想即興曲」(エキエル版)の古典調律聴き比べ動画をYoutubeにUPしました。

一般によく知られているのはパデレフスキ版の方で、Op.66 という作品番号になっています。エキエル版は細部がかなり異なるため、これと区別して WN46 という作品番号が割り振られており、演奏プログラムでの表記や動画をUPする際も区別している人が多いようです。

 

モデファイド・ミーントーン編

 

 

キルンベルガー・ウェルテンペラメント編

  

 

とても人気のある有名曲で、平均律での演奏イメージが強固なので、「平均律以外は違和感がある」という人も多いのではないかとは思います。

 

キルンベルガー・ウェルテンペラメント編での演奏は、主に黒鍵を使う調であるために概ねピタゴラス音律相当になり、どれも良く似ているので、聴き分けは困難です。

特筆すべきことと言えば、キルンベルガー第1で演奏可能ということでしょう。嬰ハ短調と 変ト長調という構成ならば、D-Aのヴォルフを避けることは容易なので、キルンベルガー第1で演奏できることは不思議ではないのですが、これが意図的なものだったのか、たまたま偶然なのかは気になる所です。

 

 

モデファイド・ミーントーンの場合、黒鍵の5度の合わせ方にバリエーションが多いので、それによって曲の雰囲気がかなり変化することが解ります。ヴォルフのあるシュニットガーやクープラン(モデファイド・ミーントーン編の5番目と6番目)では、調子っぱずれに聴こえてしまう音が時々あるものの、狭い半音のニュアンスが効果的で興味深いので収録しました。特にクープランは、平均律とは明らかに異なる世界観の音楽になるので、「微妙な音律の違いなんて解らない」という人にも聞き分け可能だろうと思います。この曲のファンからは怒られそうですが。クープランを聞いた後に最初に戻って12等分平均律の演奏を聴くと、平均律の広い半音に違和感を感じるようになってしまいます。