各国の国歌の中には、18世紀にメロディが作曲された曲もあり、18世紀といえばミーントーンが主流だった時代なので、18世紀に作曲された国歌もまたミーントーンで具合良く演奏できる、という例があります。

 

 

 

はい。皆さんごぞんじアメリカ国歌「星条旗」。旋律の元は Wikipedia によると『天国のアナクレオンへ』という別の歌の旋律を借用して詩を差し替えた替え歌なんだそうで、1760年代の作曲なんだそうです。(作者が誰かについては決め手になる証拠が無く、それ以前に作曲されていた可能性もあるようです)

 

平均律だと上品な感じではありますが、かよわく女性っぽいニュアンスの曲になります。ミーントーンだと、少々野暮ったくなりますが、悲しげな要素は無くなり、元気ハツラツとした雰囲気になります。後者の方が、一般的なアメリカ国家のイメージに近いと思うんですがどうでしょうか。

 

アメリカ国歌の他に、有名な所ではフランス国歌『ラ・マルセイエーズ』もミーントーンの方が具合が良いです。

  

ミーントーンが上手く合う曲と言えば、スーザの行進曲もあります。

 

 

スーザは19世紀末から20世紀の作曲家ですが、そんな時代になぜ、スーザがミーントーン縛りで行進曲を作曲したのかというヒントがここにあるような気がします。アメリカで行進曲を演奏するマーチングバンドは、そのまま式典でアメリカ国歌を演奏する機会も多いはずなので、音律が異なると具合が悪いでしょう。アメリカ国歌「星条旗」がミーントーンで演奏する必要があるのなら、行進曲「星条旗よ永遠なれ」やその他の行進曲もミーントーンで演奏できるように作曲しておくと具合が良かったのです。