スーザの行進曲7曲をミーントーンで演奏した動画をYoutubeにUPしました。

 

1. 星条旗よ永遠なれ

2. ワシントンポスト

3. 自由の鐘

4. 士官候補生

5. 雷神

6. エル・カピタン

7. 忠誠

 

 

1/4コンマのミーントーンで、概ね問題ない事に驚かされます。

吹奏楽の指導をしている先生でも、この事を知っている先生は、現時点ではほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。

 

ちなみに、こんなにうまくミーントーンがハマるのはスーザ特有の特徴で、他の作曲家の行進曲でここまでうまく1/4コンマが合うのは稀です。それらの傾向と考え合わせると、スーザの行進曲が1/4コンマミーントーンで具合良く演奏できるのは、たぶん偶然では無く、スーザが意図的にそのように作曲していた可能性が高い事になります。

 

吹奏楽では「とりあえず平均律に合わせて、3度の人は低めに」なんていう指導がされる場合がありますが、少なくともスーザの行進曲に関してそれは間違いで、ミーントーンに音程を合わせるようなトレーニングをした方が近道ということになります。

ミーントーンはバロック音楽のためだけの音律では無いのです。

 

スーザの書いた行進曲の多くが、1/4コンマミーントーンで具合良く演奏できるという事実は、音楽史的にも無視できない意味があります。というのも、アメリカ発祥のジャズ、これのもっとも初期の形がデキシーランドジャズになるわけですが、このデキシーランドジャズというのは、最初は行進曲を耳コピするところから始まったと言われているからです。黒人がトランペットやサックスを手に入れて、練習して、最初に吹いた曲はパレードなどのイベントで聴き覚えのある行進曲だった訳ですね。そこからジャズに発展していった時、そのジャズがやっぱり中全音律や改変中全音律の名残りを残していることに繋がっていく訳です。

 

 

 

 

 

 

 

そこからブーギー・ウーギーやロックンロールに枝分かれしていきます。

 

 

 

 

 

 

このムーブメントは、当時、多様な音律が使われていたからこそ起こったことなのであって、もし当時、全ての楽器の音律が平均律に統一されていたとしたら、きっと全く違う形の音楽になったことでしょう。