モーツァルト きらきら星変奏曲 の古典調律聴き比べ動画をYoutubeにUPしました。

まずは前半、第7変奏までです。第8変奏以降はこれから制作予定です。

 

 

きらきら星変奏曲は、冒頭のテーマが、だいたいどんな古典調律と組み合わせても平均律より野暮ったくなるという問題があります。古典調律のハ長調は、和音の美しさを重視する調なので、この調で旋律を演奏すると、導音として機能するはずのEとBの音程が低いのです。それで、パッとしない演奏に聴こえてしまうのです。

ピタゴラス音律だとEとBが高めになりますので、こういう童謡っぽい旋律は得意です。一見するとよさげに聴こえます。第2変奏、第3変奏ぐらいまではピタゴラスでいけてしまうんですが 、しかし 12もの変奏をすべてピタゴラス音律でやるとなると、さすがに耳が飽きてきます。そもそもモーツァルトがピタゴラス音律を使っていたという話もなく、ピタゴラス音律との組み合わせはやっぱり何かおかしい、となります。 

 

飽きるほどピタゴラス音律を聴いた後で、中全音律で聞き直すと、それぞれの変奏の特徴がより生き生きと聴こえてきて、構成の意図も解りやすくなる気がします。

 

問題は、中全音律で演奏したときの冒頭のテーマの野暮ったさをどうするかですが、 そもそも冒頭のテーマはモーツァルトの作品では無く、当時すでにわざわざ説明する必要も無いほど世間に知られた曲だったので、モーツァルトはそれを気にしてなかったんじゃないか・・・と考えざるをえません。子どもの頃から中全音律で育った人にとっては、ハ長調がそういう調であることは自明な訳で、むしろ、だからこそ変奏しがいがあったのかもしれません。