スコーレ早朝研修  (演壇の原稿)  

 私は、高校生の時、クラブ活動で華道クラブを選びました。それは、体操は苦手、絵や字を書くのも苦手と言う、クラブ活動の選択肢が無かったので仕方なく選んだのでした。
それが、嫁いだ先の集落に、自宅で華道教室を営む先生がいたのです。仕事から帰宅後に、週一回の華道教室に通わせて頂きました。残念ながら、長く続きませんでした。娘を身ごもり悪阻がひどく、通える状態ではなくなったのです。
 人の縁とは不思議なものです。私が、会社生活を卒業し時間に余裕が出来た時に、市の生涯学習センターで開催されている華道教室に参加する事に致しました。正しく、教えて下さる先生が、以前教えて頂いた先生だったのです。先生には、公私共に大変お世話になっております。離婚した後も、常に心を砕いて下さっております。当然ながら、絵や字も苦手と言う美的センスなど持ち合わせておりません。しかしながら、先生は必ず褒めて下さり、枝の位置を直すのでした。先生の言葉は、なんて美しいのだろうと憧れを感じました。素敵な言霊を、肌で受け取れていたのです。私が現在、ブログで言葉を紡ぐにあたり、美しい言葉を選びながら表現できるのも、先生のご指導のお陰です。
 離婚後に行った華道教室で、いつもの様にお花を活けようとしたのですが、何故か納得がいかず何回もやり直しました。私は、花材との相性が良くないのだなと、変に納得をしました。先生はお見通しでした。
「まだ落ち着かないのね。お花に心が表れている。」
と そして、いつもの私ではないと言うのです。その時初めて、先生は生徒の活け方を指導しながらも、心の状態も観ているのだなと知りました。その後、何回か通っている内に、
「今日は素敵に活けてあるわね。落ち着いたのね。良かった。」
と とても喜んで下さいました。
 先日、私がお母さんと呼ばせて頂く家に行き、お線香をあげさせて頂きました。その時に、供えられている花瓶を見て、枯れそうなお花たちが可愛そうに思えたのです。仏様に備えるお花は、仏様の洋服(着物)だと言われます。私は思い切って、お花たちを直してあげたいと申し出ました。菊の花等、一本毎に枯れた葉を取り除きました。お花も生き物です。葉が無ければ輝くことが出来ません。葉を少しでも残してあげたいと、葉の一枚毎に枯れた部分を取り除きました。そして、人も生き物も同じ、栄養剤が必要です。竹酢液を薄めたものを、花瓶に投げ入れました。
お花たち元気になってねと言う気持ちで、全体的にスプレーで振りかけました。
 息子さんが帰宅後に、供えの花を見て
「お花を、買ってきたのか。」
それが全てです。 

 ありがとうございます