俺も自宅で見てました。


誠に恐縮ながら「かけら」での亀田さんとの作業が番組の半分くらいを占めていました。

改めて俺は、亀田さんの音楽や僕らに対する情熱に助けられて今年一年音楽をやることができたのだなあ。見ていて心からそう思えました。

これからも俺にとって亀田さんは永遠の先生であり永遠のお客さん、そう思って音楽を作りたい。

「みっちゃんたちのやりたいことをすべて実現しようと思ったら、アルバム一枚じゃ到底おさまらないよー」

レコーディング中にぽつんと亀田さんにそう言われたことがありました。

俺もそう思う。「オーロラ」は今年の僕らのすべてだけど、「オーロラ」でも「Who are you?」でもインディーズの頃のものでもないもの、俺の頭の中には巡ってる。NICOってものが完成しました、なんてどのインタビューでも口にしたことはない。

もっともっと亀田さんをドキドキワクワクさせたいし、焦らせたり困らせたり(笑)したい。

そう思えるのはやっぱり亀田さんだからなんだろうなあ。

もう一ヶ月くらい会ってないけど元気にしてるといいなあ。や、亀田さんが元気じゃないわけないか。(笑)




『オーロラ』全曲解説


3.芽

なんとなく『オーロラ』のテーマが見え始めた頃、足りないパーツを埋めるために曲作り合宿に出かけた。今年の5月の終わりごろだった。合宿に出る前に予めどんなパーツが足りないのか確かめ合う打ち合わせをバンドメンバー四人だけでした。そのときに古くんから「ずーっと同じリズム感でノっていけるシンプルな歌」をリクエストされた。確かに僕らの曲は展開が多い。起承転結がきちんとないと曲の世界が本当に出来上がるのか不安になってしまうから。ずいぶん痛いとこを突いてくるなあ(笑)と思ったが、だからこそ合宿では真っ先にその要素をクリアしよう、そう思って合宿で一番最初に取りかかって出て来たのがこの「芽」のAメロの部分だった。
少々専門的な話になるが、Aメロはベースラインが半音ずつ上がっていくクリシェという手法を使って出来ている。装飾的にこのクリシェを使う曲はたくさんあるが、俺はこのクリシェ自体を土台にして曲を作るのが好きだ。過去にも「泥んこドビー」という曲は「芽」とは逆に半音ずつ下がっていくクリシェがAメロになっているし、「3年目の頭痛薬」という曲のサビも半音ずつ下がりのクリシェになっている。ただ「芽」は半音ずつ上がる、ということで前記の2曲と比べると聴きすすめるごとにワクワクしていく感じになる。
「この感じどう?」と古くんに尋ねると「まさしくこんな感じ!」とのことで、ひとまずほっ。合宿の時点では当初の「ずーっと同じリズム感」のイメージに則してこのAメロの感じがひたすら繰り返されるサビのない雰囲気のものがひとまずの原型になった。
そこから少し時間が経ってよーし仕上げるかって時に、メロディがふと頭をよぎる。これが後にサビのメロディになるのだが、(このメロディは抑揚がありすぎるし、当初の淡々としたイメージからはだいぶかけ離れるぞ、、、)ビクビクしながらもみんなに歌って聴かせてみる。案の定反応は真っ二つ。これはこれでいい、いやいや前のがいい。俺は断然サビのメロディがあった方が好みだったが、そこで登場、困ったときの亀田さん。2パターン聴いてもらってサビ有りに一票。やっぱりね、っちゅーことで曲は完成。7月の終わりくらいに既にオケは録り終えていた。
そこから三ヶ月、俺は歌詞で煮詰まった。挙げ句の果てにはついにこの曲の歌詞がアルバムの最後の最後になってしまった。「大地」を舞台に描きたい、それだけはずうっと持ち続けていた。半音ずつ上がっていくベースラインに何かがこう大地から育っていくようなイメージを感じていたから。ようやく「芽」というテーマに辿り着けたのは本当にギリギリの10月頭くらい。やっと来た、そんな感じだった。
歌詞の内容は読んでもらえばそのまんま。今の僕らが生きる上での純粋な願い。それだけ。
空に浮かんだ「Aurora」と、大地に根付く「芽」の狭間に飛び交う幾多の想い、すなわち「ホログラム」の世界。この冒頭3曲が、実は『オーロラ』の縮図である。


続く