後輩が職場の上司に辞意を表明したらしい。
そいつから半月あまりに渡って受けていた相談の内容は、要約してしまえばありふれたものだった。
周りの同僚よりも作業が遅いこと。
その為に叱責され続け体調を崩したこと。
今の仕事とは別にやりたかった事があったこと。
そして、それを実行に移すべきか否かで揺れていること。

従って俺の回答もまたありふれたものに落ち着いた。
仮に失敗したとしても実行に移した後の人生と、失敗を恐れて夢を一生夢のままにしておく人生、後悔せずに済むのはどっちだ、と。

それなりに年齢相応の人生経験を重ねた大人から見れば至極凡庸な助言であることだろう。
しかしまあ、仮にも旧知の仲であり、仮にも尊敬される立場にあった俺の口から出る分には受け取り方も変わってくるのは自然というものだ。
結果としてそいつは殻を破り、行動に出た。

神様、俺は正しい聴き手の役になれただろうか。
こうやって誰から見えるわけでもない所で頑張っていれば、俺にもそんな正しい聞き役を巡りめぐって寄越してもらえるのか?
情けは人の為ならず人間万事塞翁が馬風が吹いたら桶屋が儲かる。それを証明して見せてほしいもんだ。

とはいえ、こんな所に書き散らかして少しでも他人の称賛を得ようとしている浅ましい気持ちが隠せないあたり、情けでも何でもないのは露呈しているし、帳消しかも知れないな。