監督:Higuchinsky、原作:伊藤潤二
出演:柏原収史、堀内正美、津田健次郎、つぐみ、初音映莉子
伊藤潤二の原作を、Higuchinsky監督が実写化!
暁総合病院脳神経外科を一人の青年が受診します。向田哲郎は、黒田医師に悪夢を見ること、その夢がしだいに長くなってゆくことを打ち明けます。
最初は1ヵ月、そのうち1年と向田青年の夢は、だんだん長くなっていきます。しかし、長くなるといっても、夢の中で過ごす時間が長くなるだけで、実際の時間は1晩です。
向田青年が、トイレを8年間探し続ける夢を見るつらさについて語っていましたが、たしかにその夢はつらいだろう・・・と思いました。
「すべて気のせいだから、気にすることはない」という黒田先生の無責任な励ましに笑ってしまいます。
向田青年の話に興味を持った黒田医師は、詳細なデータを取り始めます。
この黒田医師には、過去に恋人でもあった患者を安楽死させたという疑惑がありました。黒田医師の思い出の中に、赤い傘をさした恋人がたびたび登場します。
さらに、夢が現実に浸食し始め、向田青年は「永遠に終わらない夢を見た翌朝、僕はどうなっているんだろう」とおびえます。
「彼は今、どのくらいの未来に行ってしまったんだろう」
普通は夢が長くなると言っても、人間の寿命以上は超えられないように思うんですけど、“未来”という奇想は伊藤潤二ならではのものだなぁ・・・と感心しました!
人類が長い歴史の中で変化を得てきたように、彼の風貌にも変化が現れ始めます。
そして黒田先生は、医師として行ってはならないある実験を試してしまいます・・・。
伊藤潤二の原作に忠実な、投げっぱなしの映画でございました。