今年はいろんなことを考える時間がたっぷりあった。

敗戦60年の年も、もう終わろうとしているこの時季に、もう一度平和な生活に感謝しよう

と思っていた。そんな矢先にとても素晴らしいブログ記事を拝見した。


『「普段、我々が普通にしていること」の大半は多くの犠牲のもとに成り立っています。』

これは、彼のブログ記事の一節だが、実はオイラも同じことを考えていた。

いい機会なので、たまには真面目な内容のネタを書いてみようと思う。




多くの被害者を出したあの戦争から60年が過ぎた。

幸いなことに、オイラの身内には命に関わるような被害を受けた者はいない。

だが、戦争というのは戦勝国にさえも、多少なりの被害や影響があるものだ。

勝敗の問題ではなく、戦争そのものが問題だと思う。



随分前にアメリカにいた頃、芝刈りや清掃のアルバイトを時々やっていた。

ある日、墓地の清掃作業を一日がかりでやったことがある。

広い墓地の敷地内は草が伸びきって、鬱蒼としていた。まずは芝刈り機に乗って全体の草を刈る。

そして、墓石の周りや隅っこの方を両腕で抱えるタイプの草刈機で作業する。

・・・とたったの二行で説明したが、この作業には8時間以上かかった。

次に切った草を集めて処分するのだが、この時点で墓地全体が見違える程きれいになる。

一つ一つの墓石がよく見えるようになると、墓標の文字も目に入る。

墓標にはその人が生きた年などが刻まれている。1922-1945…のような感じで。

そして、数多くの墓標に第二次大戦で亡くなったことが書かれているのを発見しショックを受けた。

太平洋戦の記録もあれば、ヨーロッパ戦のものある。

墓で眠っている人たちも、まさか敵国の子孫が掃除に来てくれるなんて夢にも思わなかっただろう。

それ程平和的な交流が出来る時代になったことに、とても感謝したことを憶えている。

米国、南部の田舎町での思い出だ。



話は変わるが、米国南部と言えば今でも保守系の人たちが多く、人種差別も残っている。

ジャズやブルーズ好きのオイラとしては、一度ぐらいはこのことを

ブログ記事のテーマにしてみたいと思う。

芝刈りをしていた頃、大変お世話になった人や仲良くなった友人の中にはインディアンが多くいた。

最近ではネイティヴアメリカンと呼ぶようになった。

昔、ジョージア州近辺の先住民が強制移動により住まわされた地域なので今でもインディアンが多い。

ユタやアリゾナのリザベーション(インディアン居留地)とは違い、この辺りの先住民は普通の学校に

通い、伝統的な生活はしていない。

そんな彼らの祖先が住んでいたジョージア州の州知事を勤めた経歴のあるジミー・カーターは

オイラの好きな政治家の一人だ。オイラの知らない部分ではひょっとしたら悪事も働いたかも

知れないが、彼には素晴らしい功績がある。



『私は皆さんにはっきりと申し上げたい。人種差別はもう終わったのだ。』



これは1971年の1月にジョージア州アトランタで新知事となった彼が就任演説で言った言葉。

当たり前の内容ではあるが、この時代のジョージアで堂々と政治家が口にするのには

かなり勇気がいる演説内容だったと思う。

彼は口先だけでなく、知事就任中に州政府の黒人職員数を1.5倍に増やしている。

白人至上主義の団体や一部の保守派からの圧力は相当あったと予想される。(オイラの勝手な予想)



この時代がどれだけ酷かったかと言うと、カーター州知事と同時期に就任したマドックス副知事の

ことを知ればよく分かる。マドックスは副知事になる前日までは州知事を務めた政治家だ。

この男はレストラン経営もしていた。カーターとは違い、完全な人種差別主義者。

絶対に有色人種の客は店に入れないことにしていた。しかし、1964年に公民権法が制定される。

法律上は肌の色を理由に入店拒否なんか出来ないことになった。

法律施行直後に3人の黒人学生が店を訪れた。テレビ・ラジオ・新聞の記者達は何が起こるか

取材するために集まっていた。そんな中、マドックスはピストルを突きつけて黒人客を追い出した。

しかも、ヤツの息子は斧を持って加勢している。

『すぐに帰れ!二度と来るな。』 こんな悪態をついたらしい。

このことは全米で報道され、広まってしまった。普通は、とんでもない野郎だ…と思うのだが、

なんとヤツの支持者が増えたそうだ。そして、レストランは大繁盛したらしい。

多くのバカな国民がいるから、バカな政治家が当選したんだろう。

もちろん、その後の法廷で敗訴して多額の罰金などを払う羽目になった。

罰金などの額が払えずに、レストランも売り払ったそうだ。

だが、アトランタ市長選で何度か落選していたヤツには同情票が多数入り、

なんと州知事になってしまう。カーターが州知事になる前の任期だった。



この時代に比べると、今は随分良くなったと思う。

オイラの友人にもいろんな国籍・異人種の人がいるが、誰も差別主義とは無縁の者ばかりだ。

事実、「人種差別はもう終わった」と言った人が、その国の大統領にまでなったのだから。

だが、完全にこの問題が解決される日が来るのかどうか、今のところオイラには分からない。