さあ、前回の続きをお話致しましょう。




しかし、そのあとこのお殿様、秋刀魚が好きになってしまいまして、もう長いあいだ食べていないので、

「ああ、秋刀魚が食したい、秋刀魚が食したい、」

といった感じで、でもそれを家臣に打ち明けてしまうと半太夫がお咎めを受けてしまうかも知れないので、一人悩んでおりました。

そんなあるとき料理番が・・・・・・

「こんにちは、お殿様。本日の昼食は何にいたしましょう」

その時このお殿様、すぐに秋刀魚と思いついたそうで・・・・・・

「うむ、では今日の昼食は秋刀魚が食したいのぅ」

これを聞いた料理番は驚き・・・・・・

「で、ですが、お、お殿様、秋刀魚は、しょ、庶民の食べるものでございまして、とてもお殿様のようなお方が・・・・・・」

「ふむ、お主もはんだ・・・・・・それを言うのでござるか。しかし、余はどうあっても秋刀魚を食したい。今すぐ用意して参れ」

「で、ですがお、お殿さ、ま・・・・・・わ、分かりましてございます」

これで城中大騒ぎ、殿が秋刀魚を食したいと、秋刀魚を食したいと申しておる、早く用意せい、しかしすぐには、秋刀魚は城中にありません、といった感じで・・・・・・

仕方がないので、料理番共で急ぎ日本橋の魚市場に行きまして、新鮮な秋刀魚を数尾仕入れて参りまして、それを台所で骨を抜いて潰して粘土状にしてから、こねて丸めて焼いて椀に盛って、やっと殿様のお膳の上に出されました。

「これこれ料理番、秋刀魚はどれでござるか」

「はい、この椀に盛られております玉が秋刀魚でございます」

それを聞いた殿様は驚きます。

「こ、これが秋刀魚であるのかの・・・・・・この前余が食した時には皿に乗せられて出てこられたが、椀に盛られておるのは・・・・・・これがあの細い秋刀魚であるのか・・・・・・(箸に挟んで匂いを嗅いでみる)おお、懐かしい香りじゃのう・・・・・・ああ、これがあの秋刀魚でござるか・・・・・・(口に入れる)むむ、なんじゃ、この味は・・・この前食した秋刀魚のあの味とは大違いじゃ。これ、料理番」

「はい、なんでございましょう、お殿様」

「この玉は本物の秋刀魚であるのか?」

「はい、それはもちろん、日本橋の魚市場で新鮮なものを仕入れて参りましてございます」

「むむう、道理でこのような味であるのか。余は思うが、秋刀魚はやはり目黒のものが美味しいのじゃな」




終了です。

↑落語の後に終了です、と付けるのは気が進まない。