東国山フルーツパーク。

 さまざまな花が咲き乱れ、美しい芝生が地平線まで広がる。北の名古屋に鎮座する広大なオアシスだ。


 関口は、大きな息を一つつくと、持参したござを降ろした。

 「張本、この辺に酒置け、おい張本」

 振り返ると張本は、遠く地平線のあたりで、見も知らぬ子供と遊んでいるようだ。張本の大きな体に無数の子供たちが群がっている。平素その恐ろしい風体から、誰しもが遠巻きに眺める張本だが、不思議なことに子供は全くこの男を恐れようとしない。張本のもつ邪気のない心が、子供には見えるらしい。

 「あいつ、すげえな」 

 子供を何人か大きく振り回しては投げ飛ばす張本の姿を見ながら、関口は諦めたように呟いた。


 「しかし、なんだってこんな所に呼び出されなきゃなんねえんだ」

 総面積23,300㎡の果樹園である。ここにあの竿竹屋はこの二人を呼び出していた。

 

 「おおい、学生。ここに来て座れ」

 「あ、おっさん」声のする方を向くと、大きく枝を張った大木の下に、竿竹屋が立っているのがみえた。

 ずいぶんと砕けた話しぶりに戸惑いながらも、竿竹屋のただ立っている姿を見るだけで、久しく感じたことのない安らいだ気分が不思議なほど湧き上がってくる。

 「遅いぞ学生。あの遠くて吠えているでかいのも呼んで来い」

 「おう。んなことよりよ、俺らだって忙しいんだ。遠いしよ。張本のディオが四軒家の交差点でパンクしたぞ。なんだこんなとこに呼び出してよ」

 「学生が忙しいわけないだろ。たわけ。座れ」

 「あんた、急激に口が悪くなっているぞ。ひどいな」

 「ばかめ、この前までは商売人の姿だ。 そんなことより今日はこの前の話の続きをしようと思ってな」

 「この前の話・・・」