トイレが欲しい、でもお金がない。 | NICCO@マラウィ~国際協力日記/アフリカ編 -世界をフィールドに~

トイレが欲しい、でもお金がない。

4月よりアフリカ・マラウイに派遣されているスタッフ・杉尾の
ンコタコタ記・その5をお送りします!(毎週火曜・金曜更新!)


勤務3日目。エコサントイレを建てたいという村人たちを集め、説明会を行った。
何百年も村を守ってきたに違いないどっしりとした大樹の下、約200人の村人たちが集まった。正面には村々を治める長2名がイスに腰をかけ、その隣のゴザの上には役職に就いている村人3名が座った。正面から右には男性たちが、そして左には女性たちが、地べたにそのまま座りこんだ。昨日訪ねた時はばっさり切られたような大きな穴の開いたシャツを着ていた村長も、この日ばかりはおめかしをしていた。

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今回の説明会の最大の焦点は、「ビルダー(エコサントイレを建設する村人)に支払うお金」についてだった。「ちゃんとしたトイレが欲しい。だからエコサントイレを建ててもらいたい。でも、(ビルダーに支払う)1500クワチャ(約1200円)を工面することができない。」必死に訴える村人たちの声にどうしたものかと耳を傾けながらも、NICCOの予算は材料費(セメント)や道具代(シャベルや一輪)にしか使えないこと、また、自分たちのトイレを建てるために少しでも自分たちでお金を出せば、「単なる贈り物ではなく、自分たちのお金で建てたものだから大切にしよう」という気持ちが生まれてくるはずだ、と説明した。一生懸命伝えること、真剣なんだとわかってもらうことが何より大切だと思い、とにかく彼ら一人ひとりの目を見て、体全体を使って話をした。まるで裁判にでもかけられているかのような緊張感の中、私の一挙一動に笑ったり、黙ったり、拍手をしたり、ちゃんと聞いてくれていることがわかって嬉しかった。皆が納得した上で話し合いは続き、お金がどうしても工面できない人たちのために、「穀物での支払い」が許されることになった。


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私一人にできること。それはとても小さなこと。それでも、「村には十分な数の井戸がなく困っている」「マラリア対策のために蚊帳の配布を続けてほしい」などなど、次から次へと沸いて出てくる要望(彼らの問題)に耳を傾け、マラウイの現状を日本の人々に伝えることはできる。そんな想いで綴っているこのブログが、少しでも多くの人の目に留まっていることを、心の底から願っている。