よく、50,60代の上司が最近の若い人たちは考えることをしないという言葉をよく聞きます。 それについて考察してみました。
仮説の整理
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入職動機の変化
近年、「興味・やりがい」よりも「給与や安定性」といった外的条件を重視して就職先を選ぶ人が増えている。 -
ごく一部の極端な行動が目立つ
興味の薄いまま仕事を始めた人の中には、「なぜこれをやるのか」を自分で考えず、ただ指示通り動くだけの人もいる。 -
世代全体への誤一般化
こうした「考えない極端例」が記憶に残ると、「若い世代はみんな考えない」という、いわゆる可用性ヒューリスティック(目につきやすい事例で全体を判断するバイアス)が働いてしまう。
仮説の裏付け
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入職動機の変化:内発的動機から外的動機へのシフト
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1987年(新入社員)
社会経済生産性本部の「働くことの意識調査」によると、1987年時点の新入社員の会社選択理由で最も多かったのは「自分の能力、個性を生かせるから」(約30%台)で、「給料が高いから」は10%未満に留まっていました mhlw.go.jp。 -
2025年卒大学生
マイナビの「2025年卒大学生就職意識調査」では、-
「給料が良い会社」を選ぶ割合:23.6% career-research.mynavi.jp
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「楽しく働きたい(=やりがい)」を最重視:38.9% career-research.mynavi.jp
このように、給与・安定性を重視する学生の割合が顕著に上昇し、一方で内発的動機の割合は相対的に縮小しています。
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ごく一部の“極端例”が目立つ構図:可用性ヒューリスティック
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Tversky & Kahneman(1973)の研究で提唱された利用可能性ヒューリスティックは、「頭に浮かびやすい事例(最近見聞きした、印象深い出来事)をもとに全体を判断する」バイアスを指します。
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ごく少数の「考えずに動く」行動が強く印象に残ると、“若い世代はみんな考えない”という過剰な一般化が起こりやすくなるメカニズムがここに該当します sciencedirect.com。
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まとめ:仮説の妥当性
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過去~現在にかけての「内的動機 vs. 給与重視」の割合変化データは、仮説の「外的動機を重視する層が増えた」という主張を裏付けています。
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一方で、その中の“考えない極端例”をもとに世代全体を評価するのは、可用性ヒューリスティックによる認知バイアスの典型例です。
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以上を踏まえると、
「興味より給料重視で入社した層の増加」+「少数の極端行動への過度な注目」
という二重の構図が、『若い世代は考えない』という誤解を生んでいる
上の世代も同じ構図
面白いことに、この構図は若手だけの話ではありません。
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IT導入に苦戦する上の世代
「自分にはもう無理だ」と感じるほど興味も経験もない領域では、そもそも学ぼうとしない人もいます。 -
共通する「興味のないものには考えない」メカニズム
興味が持てない領域では、自己効力感(自分ならできるという感覚)や小さな成功体験が生まれず、自然と「思考停止」状態に陥るのです。
まとめ
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ごく一部の「考えない」極端例が、世代全体のイメージを歪めているだけ。
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若手もベテランも、「興味・小さな成功体験」がない領域では誰しも思考が止まりやすい。
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世代を問わず、まずは「興味のきっかけ」と「成功体験」を仕組みとして用意することが、真の自発性を引き出すカギです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。