2021年4月14日水曜日

初台 新国立劇場 小劇場 13:00

 

一幕 70分・<休憩 20分>

二幕 75分・<休憩 20分>

三幕 75分 

合計 4時間20分という長丁場だが退屈することはなかった。

 

大道具はかなり急な傾斜のついた八百屋舞台ひとつ。最後の三幕目でその舞台が中央から左右に割れたのには驚いた。現れ出た側面には黄金に実った稲穂らしきものが抽象的に描かれていて、一瞬にして田んぼになった。美術は乗峯雅寛。

 

三好十郎が書いた脚本をそのまま上演すると8時間を超えるそうだ。今回は真壁村の一百姓仙太の半生と天狗党の盛衰を絡めてまとめている。

 

仙太役の伊達暁(だて・さとる)は百姓姿の方はどこか都会的な姿が垣間見えて違和感があったが博徒姿の方はきまっている。理不尽なことに屈することなく粘り強く次の場面へと立ち向かっていくパワーがあって見事。最後に天狗党にあれだけ斬られても生き続けて百姓をしているというのは、いささかスーパーマン過ぎるが。

 

体制側から受けた理不尽さに憤って行動を起こしたかに見えたのに、最後はやはり一百姓に戻っていて、若い時の立場となんら変わっていないように見える。

最後の場面で、老いた仙太の次の世代の青年が憤懣やるかたない表情を見せ遠くをにらみ、その背後で黒衣姿の支配者がじっと見ているというのは、今現在でも同じ状況だといいたいのか。

よかったね、では終わらない舞台版大河ドラマだった。