11月2日月曜日 12時-14時20分

いつもながらの鬼界ヶ島の場に六波羅清盛館の場をつけての上演。

中村吉右衛門の清盛の顔がいい。古怪とでもいうのか、力強さと好色ぶりが一目でわかる。
平成7年(1995)に見た時はひょうきんな好色爺さんといった印象で、それもおもしろくて印象に残っているけれど。

俊寛の妻・東屋(あずまや/菊之助)を我が物にしようと、中臈たち(中村京妙・中村京蔵・尾上緑)に東屋の機嫌を取らせるところ、三人の中臈が善意でやっているように見えて違和感。

鬼界ヶ島の場の吉右衛門の俊寛は、もうドキュメンタリーを見ているような有様。
からだに力が入らず声がでないといったセリフ回し、力が抜けているものの、久しぶりに聞く恋の話に気持ちが浮き立つさま、見入ってしまう。
パンフにある通り、清盛館がつくと、妻を亡くし都に戻る意味を失った俊寛の気持ちがわかりやすくなる。

中村雀右衛門の千鳥はずいぶんと丸っこい。かわいいには違いないけれど、ちょっとからだが重たそう。

中村又五郎の瀬尾(せのお)が要所要所でいい形を見せる。一旦、赦免船に乗り込む後ろ姿に拍手がきた。

最後、松の枝が折れ前にのめりになってから、からだを起こすと、まったくの無表情。心をつかまれる。幕が閉まっても拍手が長かった。

帰りに〈おかめ〉(国立劇場近くの甘味屋)でクリームあんみつ。

そのあと、伝統芸能情報館の
企画展示「国立劇場の養成事業-心と技を伝えた50年-」に立ち寄る。
養成所に入ると、制服として紋付・袴が支給されていると知った。紋付の生地はウールみたいだったけど。
芝翫の家にいた「梅花(ばいか)じいじ」の活躍を追ったビデオを少し見る。児太郎時代の福助が「これからも色々と教えてもらって云々」というのを見て、ちょっと胸が詰まる。