3月13日金曜日 11:40

TOHOシネマズ日本橋

 

談志が落語は人間の業の肯定だ、と言ったと聞くが、この一人芝居は落語が描かなかった喰い詰めた「女性」の業の肯定だ。

 

「女の一生」の布引けいが「自分で選んで歩き出した道ですもの。間違いと知ったら自分で間違いでないようにしなくちゃ。」という健気さを見せて共感を呼んだのが前の世代なら、このフリーバックの女性の壊れっぷりはまさに当世。

 

彼氏に自分の一番すきなところを写メして送ってといわれ、トイレの中でオマタとオッパイを撮っている時の呆けた無表情が抜群にいい。こんな下品なことをしているときに虚無が全身に出る。しかも、Phoebe Waller-Bridgeの演技のうまさで、大笑いできる名場面になっている。

同じことをしていなくても、わたしのどこかにもこれはあるよ。

 

PCでポルノを見ている時も同じ。

 

実家に行き、玄関に出てきた父親の顔を掌で押すという、本人も言う通りわけがわからない行動を淡々と話す所も妙に心に残る。

 

何をしてもどこか寂しくて、わかっているけど行いが常識からずれていく。最後に幕開きと同じ、会社の就職面接場面に戻り、面接官に投げつける定番の下品な一言で終わる。

その瞬間、ダメだこれじゃ何一つ状況は好転しないよ、とは思うものの、何とかせにゃあと爽快にまっしぐらだから、生きていけるぞこれはと力強く確信もできるので、全部OKデアル。

 

日本で上演するなら寺島しのぶ、松たか子でも良さそうだけど、ちょっとちゃんとしている感が出過ぎるきらいがあるので、長澤まさみとか 吉岡里帆でどうかな。