2月1日金曜日

吉祥寺オデオン 19:40

 

National Theatre Live

Bridge Theatre

 

開演と同時にロックコンサートの始まり。

動く舞台の周りに観客が立見で入っていて、舞台を取り巻いている。中に橙色のベストを着た警備員のような役者がいる。

立ち見客は、ローマの群衆に見立てられているだけではなくて、演説を応援するビラやフラッグを振り回したり、舞台の移動に伴って動いたりと芝居の中に取り込まれている。

この演出がおもしろかった。

 

ブルータス役のベン・ウィショーがよかった。陰のある知的な雰囲気。シーザーの暗殺を企てる時も、書斎の中で本と書類に囲まれて語る。

 

シーザーを倒すまで、登場人物は皆、コートとマフラーをしっかりと着込んだ格好。寒さの中、ぐっと考え込んでいる様が現れている。

シーザーを撃ち殺すと―原作は刀だが―上着を脱ぎ、シーザーの血に手を浸す。それまでのモノクロ衣装から一転、赤い血が鮮烈。

 

アントニー役のデヴィド・モリッシーが、ブルータスよりずっと場数を踏んだタフな政治家を演じる。演説の詞の力だけで聴衆を引き込むところも、大げさな振りはひとつもしないのに、とまどっている様にみせつつ魅了していく。うまい。

 

書斎派のブルータスと、現場派のアントニーという政治家の対比がよくわかる。

 

キャシアスは女優のミシェル・フェアリー。

戦場で追いつめられた状況で、ブルータスとささいな誤解から言い争い、その誤解を解いていくところは聞かせる。

 

どの役者もせりふが粒だっている。

 

演出は、ヤング・マルクスと同じニコラス・ハイトナー。