8月4日土曜日 16:00
国立小劇場
歌舞伎役者、中村歌昇(かしょう)、種之助(たねのすけ)兄弟の勉強会。
「義経千本桜(よしつねせんぼんざくら) 川連法眼館(わかつらほうげんやかた)の場」
種之助の忠信(ただのぶ)。前半の*本物の忠信、座っている姿が立派。
*刀の緒の扱いなど、たどたどしいところもあるけれど、きりりとした眼差しが効く。
後半の狐忠信はコロコロとした動きがかわいい。素の必死さが前面に出ていたけれど、親狐のそばにいたいのだと訴えて鼓にほおずりするところでは、フト哀感があふれて胸を突かれた。
京妙の静御前は緊張のためか、何度かせりふに詰まるところがあったのが残念だった。けれども控えめな物越しが、近年あまりみられない静の雰囲気でよかった。
ほかにも、登場してしばらく手の震えが止まらない役者もいて、皆が気合一杯でこの舞台に臨んでいるのだなと思った。
*本物の忠信
この芝居は、前半は本物の佐藤忠信が出て、後半、同じ役者が、狐が化けた忠信を演じる。
*刀の緒の扱い
もう一人忠信がいるらしい、これは怪しいと緊張感が走る時、忠信はキッとなって刀の緒をほどき袂に入れる。つまりいつでも刀が抜ける様に身構えるその所作は見どころのひとつ。
「積恋雪関扉(つもるこい ゆきのせきのと)」
見ている途中から圧倒されるような迫力を感じて、幕が下りた時には、ウワ~いいもの見たという気持ちで一杯になった。
歌昇の関兵衛が大きく、線が太くて古怪ということばがぴったり。まだ若いのに驚く。
中村児太郎(なかむら・こたろう)が小町姫と小町桜の精を踊る。花道に登場した瞬間、色っぽくてきれいで、歌昇の関兵衛の分厚さと見事に対になる。
小町桜の精になって桜の枝を持って関兵衛と二人立廻りになるところ、勢いと間の早い動きがよくて、堪能。
歌昇が赤い舌を出して斧を振り上げ、児太郎が海老ぞりで決まるところでもグッと盛り上がった。
配られたパンフレットに来年の予告が載っていなかった。続くと良いな。