10月6日金曜日 11:00

 

おもしろかった。

菊之助発案による新作歌舞伎。

チラシの裏に関係図が載っている。ごく最初の内だけ見ていたが、舞台だけでよくわかるので途中で必要なくなった。

 

音楽もよかった。

棚川寛子によるパーカッションを多用した音が、せりふにかぶるところが特によかった。

七之助の鶴妖朶王女(づるようだおうじょ)が花道七三に立って話し始めると、かすかな音が背後に流れる。一見岩藤のような役柄に見える姿に、妖しさだけではなくて、異国の匂いも漂う。

菊五郎の仙人久理修那(くりしゅな)が教え諭す時にも、音楽がかぶるが、せりふと響き合ってきれいな音色だった。

 

松也と菊之助の一騎打ちの場面での打楽器総出のような音は迫力あった。

 

青木豪の脚本も破綻が無い。

主役、菊之助の迦楼奈(かるな)が、敵に見える鶴妖朶に友情を誓うのも、行者・弗機王(どるはたおう)への入門に嘘をつくのも、一時「なぜ?」と思わせておいて、きちんと理由がわかるようになっている。

 

神と人が、なんの隔たりもなく会話するのも軽やかでおもしろい。

 

衣装は、鎧が秀逸。七之助の赤黒の鎧姿のスタイリッシュな事。

菊之助の金の鎧姿は、肩を覆う部分には金地に更紗模様がきれい。

テレビにも映っていたが、実際に見たほうがはるかに光り輝いていた。

 

太陽神の左團次が、梅枝の汲手姫(くんてぃひめ)に赤ちゃんを授けることを話しかけている場面では、「左團次脱ぐのか!?」と思わないでもなかったが、さすがにそれはなくて、マジメに言葉だけで赤ちゃん授けてました。

 

双子役のの種太郎、萬太郎、がマスコットのようなかわいらしさ。

 

七之助が死ぬところ、階段の上から落ちるのだが「義賢最期」みたいにするのかなと思わせておいて、はるかにスピードとかっこよさを加えた死に方で爽快。

 

カーテンコールで幕があいて、黄金の神々を再度拝めて満足した。みなさん、どこかにある仏像の様な顔になっているのはさすがだ。

 

 

文明堂の並びのビルの中に、テイクアウト専門の所がある。少し前までは色々なジュースを売っていたが、今は珈琲とスープくらいに品数が減った。けれど、スープ¥300はおいしかったし、¥240のエスプレッソのムースも一口デザートとして丁度よかった。