9月15日金曜日 11:00
「毛谷村」
菊之助のお園、臼に手を添えての形、柔らかくてきれい。
染五郎の六助。母になってやるという老婆が来て、次にあなたの嫁だと言うお園が来て、困惑するところの笑いがうまかった。
菊之助の立廻りの相手、尾上音蔵の忍び直方源八、動きの切れがいい。
杣斧右衛門に吉之丞。手ぬぐいをとっても客席が沸かないのは致し方ないけれど、せりふうまかった。
だけど、見終わって染五郎の印象が薄くて、コクがない一幕だった。
「道行旅路の嫁入り」
藤十郎、セリで登場した瞬間は「動けるのか?」と一抹の不安を抱かせる顔だったが大丈夫、最後まできちんと踊りぬいた。
隼人、腰が安定。手拍子の音もいい。
「娘島田」で、手を髪に持っていく仕草に色気があったのは収穫。
壱太郎、愛らしさ満点。
「極付 幡随院長兵衛」
夜の部同様、吉右衛門と歌六を堪能。
吉右衛門の長兵衛が、一人で大きなため息をつくところ、葵太夫の竹本の語りが絶妙な間合いでため息の前後に入って、おもしろかった。
このため息が壮年の声音。おじいさんのそれではない。おやじ臭いものでもない。幼い子供を残して行く、男のため息。
こんないい場面があったとはという気持ちで見た。