9月2日土曜日
国立能楽堂 13:00
羽田昶氏の30分の解説の後、金春流の山井綱雄と金剛流の豊嶋晃嗣(てしまこうじ)、異流競演の「二人静」。
静の霊と彼女が乗り移った菜摘の女、二人が舞う後半がみどころだった。
相舞だけれども、要所要所合わせて、その他はそれぞれの流派の舞の振りだという。
地謡が「桜木の宮、神の宮滝、西河の滝」と謡う所で、一人がシテ柱から正先に向かい、もう一人が円を描きながら正先に出て重なったときはきれいだった。
謡のリズムと正先でピタリと止まる二人の流れが気持ちいい。
一ノ松に一人が立ち、もう一人が正先に立ち、同じ振りで舞うところなどもきれいな眺めだった。
霊が乗り移るというおどろおどろしい感じはなく、静の思いが現実の女とあの世の女との間に醸し出されるような舞台だった。
狂言「狐塚―小唄入―」
吉次郎の太郎冠者の容貌、その声が、この狂言を鄙びた昔話にしてくれる。穏やかな物語の時間だった。
能「猩々」
山井綱雄の長男・綱大(こうた)13歳の初シテ。
金春憲和の地頭に始まり、若手オジサンたちに見守られて、真剣で丁寧な舞台だった。
腕の上げ下げなど、ちょっとした仕草が初々しくて、こちらは微笑みながら鑑賞してしまう。