3月21日火曜日

東京芸術劇場 シアターイースト

 

三谷幸喜の新作。

ちょっとサスペンス、たっぷりコメディ。とにかく楽しかった。

 

長方形の舞台の長辺の側に客席が並び舞台を挟む形にで見ることになる。短辺の側から二組の夫婦が出入りして、基本、マンションの二室で物語が展開していゆく。

写真が客席図。

 

妖しい空気を醸し出すのは栗原英雄、戸田恵子夫婦。

戸田恵子の顔にかかる髪がかすかに乱れていて、少し病んでいる感じが常にある。途中で万引きを繰り返すクレプトマニアではないかという疑いが出てくるのだが、そのあたりがはっきりしない不穏な感じがうまい。

 

この夫婦が住んでいるマンションに引っ越してきたのが、段田安則、優香夫婦。高校教師と元教え子の二人だが、これが不倫の末の結婚だとわかってくる。

 

招き、招かれる近所付き合いの中でとある疑念がわきおこる筋がうまくて、楽しい。

 

びっくりしたのは優香が最後の最後に一言のせりふでこの芝居を閉めたこと。

不信が不信を呼ぶ展開で、最後にどんでん返しか!と思わせて、夫の不倫も自分の不倫も不問にふして結婚生活を続けていくと確信させる、実にうまいせりふだった。

 

かわいい顔に妖しいほほえみをたたえて夫を振り返りみつめて、バシッと決め台詞を言えるなんてすごい。