2月26日 日曜日 国立能楽堂 14:00

 

最初に山井綱雄氏と中所宜夫(なかしょのぶお)氏の解説とお話。

山井氏は新しい局面に突入したいと思い、初めて新作に挑むとのこと。中所氏は、還暦を目前にしての少年役に、そう見えるかなあと笑いを誘う。

 

「朗読 光の素足」

五代路子による宮沢賢治の童話「光の素足」の朗読。きちんと真面目な朗読。動きも入る。けれど時々睡魔に襲われて聞き通せず。

中井智弥が弾く二十五玄筝の迫力がすごかったのだけは記憶に残った。

 

「仕舞」

山井氏の最初の師だという富山禮子氏の〈誓願時〉と金春流宗家・金春安明氏の〈天鼓〉を挟んで本日の本命へ。

 

「能 光の素足」

先ほどの朗読、宮沢賢治作〈光の素足〉の結末から数年後の設定。

雪の中で一人生き残った一郎は、山の中で剣舞(けんばい)の稽古に励んでいるが、幻視幻聴に悩まされている。

 

そこに見知らぬ老人が現れる。一郎が老人に悩みを相談すると、老人は夜になったらもう一度必ずここに来ると言い残して姿を消す。

 

山本則重と則秀の間狂言に続いて光の素足が登場し、一郎の悩みを解く言葉を与え、チカラを注ぐ。一郎は健やかになって村へと戻っていく。

 

残念だったのは、シテ・光の素足の装束だけ。

分厚い生地の直衣で透明感がまるでない上に、胸元からお腹にかけて膨らんで見えて重たい。

足元を軽く見せようと思ったのか指貫を括っていたが、たくさん皺が寄っていて野暮ったくみえた。

白い長絹がなかったのかな。

 

印象に残ったのは、一郎の剣舞。仕舞には無い、腕を振る大きな仕草で足踏みも大胆。冒頭でこれを舞って見せたので一気に引き込まれた。

 

この剣舞の謡もよかった。「ダダダダダスコダダ」という8人の声は迫力がある。

 

間狂言の二人も楽し気で衣装も唐人風のおもしろいものだった。