11月28日月曜日 14:00

シアタートラム

 

インフルエンザによる休演開け第一弾。

 

ウディ・アレンの「カイロの紫のバラ」の翻案だそうだが映画はみていない。

「ヒトラー、最後の20000年」同様、映像と舞台がうまく使われていて楽しい舞台。

 

映像の中の時代劇「月之輪半次郎捕物帖」は、包帯だらけのミイラが町を徘徊して牛や人を襲うという導入のみ。

作中「ミイラの〈ミ〉は包帯の〈ほ〉」という間坂寅蔵のせりふがやたらにおかしい。

 

森口電二郎役の三上市朗の乱暴な夫ぶりが、なかなか残酷でもあり滑稽でもあり、だめな男の味わいが濃くてよかった。

 

港町の人は皆、架空の方言を使う。

文末は「~だり」で、すごいの意味で「ばりんこ」などなど、いい味わい。

舞台が夢物語だという輪郭がこの方言で包まれていた。

 

映画から飛び出してきた間坂寅蔵と映画好きの女性森口ハルコ(緒川たまき)が逃避行をしようとして果たせず、一人ハルコが残る。

残されたハルコが映画館に戻り、また映画を楽しみ始める。

 

この最後のところで、ああ、今まで見て来た物語は映像から寅蔵が飛び出してきたところからハルコの夢だったのか。

夢と現実がないまぜになった夢物語だったのかと思った。

 

後味は、ほろ苦くて、でも夢見ることの暖かさもあって、冬に見る舞台として最適だった。