7月14日木曜日 14:00
シアターコクーン

ばかばかしくもガッツリくるところがあって、おもしろくて良い舞台観たなあ。
感想文が箇条書きにしかならないので、そのまま垂れ流し。

ジャワンガスタンで行方不明になったヤギ(吹越満)が山羊になって登場する。仕草の良い山羊だったな。
使い古されたような、ヤギ=山羊のしゃれで掴みはOK。

クラブ・コナジュースのボス・ハラーシュ(村杉蝉之介)がすわる「アンディの椅子」は美少年の皮で出来ている。これひとつでユダヤ人虐殺が匂ってくる。
背もたれがボンテージ衣装みたいな縛りでSMチックな味付けが。
男娼の館コナジュースに隠微な匂いも漂う。

この椅子のレプリカを欲しがる作家(阿部サダオ)がヤギを救うために単身ジャワンガスタンに乗り込んでくる。
彼の唯一のベストセラー本が「手足のない犬」とかいう題名のお涙頂戴もの。これが後半の、ゲリラ戦犠牲者の登場に効いてくるとは。

山羊三匹と交換で売られたゴーゴーボーイズ、トーイの岡田将生。ヒップを出して客席をざわめかせる。
彼の綺麗な顔に見惚れて忘れそうになるが、芝居がうまいね。まだ舞台三本目くらいだそうだが、シリアスとコメディを軽々と演じ分けてからだも存分に動く。

岡田将生のヒップに対して、皆川猿時のパグワンの背中からおしりの露出がちゃんと滑稽なのはさすが。

パグワンの兄・ワギーの岩井秀人。今回、一番印象に残ったおもしろさだった。
モチベーションが突如途切れるキャラクターで場をさらう。ほとんど表情変わらないのに、むやみにおかしい。

作家の妻で落ちぶれた二時間ドラマ女優に寺島しのぶ。ジャワンガスタンに映画を撮りに行って紛争に巻き込まれる。
過去に会った代役騒動、浮気、最後は記憶喪失になるまで常に夫への想いがどこかしらにあって芝居をきりっとまとめていた感じ。
上半身裸になる場面があったが、彼女、舞台でよく脱ぐなあ。脱ぎっぷりがよくて湿っぽさが無いから脱がしたくなるのかな。
きれいな背中だったし。

伊藤ヨタロウと綾音(邦楽グループ名)の音楽が抜群によかった。
現代の物語に三味線を入れると〈お琴でひくビートルズ〉みたいな陳腐さが漂うのが常だが、まるでない。
それどころか、伊藤ヨタロウの義太夫がジャワンガスタン国の民族音楽のように流れ、しっくりとはまっていた。
うろおぼえだが〈ジトジトしゃん〉と唄うところ印象的。

芝居の中に散りばめられたものが、ISのテロ、巻き込まれる日本人、中途半端な危機感などなど、現在につながるし、
第二次世界大戦の記憶にもつながるところもあって、まるまるっと世界を呑み込んでいる。

それをこれだけ笑ってみていられるとは!
嗚呼、次回の松尾スズキも見たくなってしまうではないか。