3月25日金曜日 18:30
国立能楽堂

3.11で津波の甚大な被害を受けた宮城県名取市を舞台にした復曲。
基本になる台本は残っていて、それに新たに孫娘を登場させたり、津波で壊滅した地名を織り込んだりしたらしい。その部分もとてもよくなじんでいて、違和感はなかった。

しかし今回の舞台のシテの老女、梅若玄祥は数日前の道成寺の舞台で倒れ体調が万全ではなかった。
事前に、そのために少しやり方を変えたと言っていたが、ほとんど葛桶に座っており、後半の神楽の舞では座ったまま足拍子をとり、最後の部分だけ立ってわずかに舞の形をみせただけ。

護法善神が登場する直前、玄祥がシテ柱にもたれかかった時は、倒れるかと思った。

そんな状態だったので、ハラハラと見守る舞台となってしまって残念。

翌日は大槻文蔵が勤める予定だったのだから、彼に代わって貰えなかったのだろうか?

この前に毛越寺の延年の舞「老女」。
真っ黒な老婆の面と白髪を付けた人が直角に腰を曲げて三番叟のような舞を老いたからだで表現する。
しずかに鑑賞したが、これは本来滑稽な舞なのかな?

次に名取ノ老女の復曲にあたった二人の人による解説。

終演後「函館海鮮 漁火」で一杯。
これで不出来な舞台の憂さを晴らせてよかった。