11月17日火曜日
「実盛物語 さねもり・ものがたり」
市川染五郎の実盛は淡泊。
小万から白幡を取った時の様子を語るところに抑揚がない。*時代から世話に砕ける「浮いつ沈みつ泳ぎ来る、泳ぎ参ると思し召せ」
と言うところも、葵御前(あおい・ごぜん)へ話しかける「泳ぎ参ると」で音量が小さくなるだけなのだ。なので聞いているうちにボ~ッとなってきてしまう。
瀬尾(せのお)に中村亀鶴(なかむら・きかく)。染五郎の実盛の線が細いので、今の亀鶴位の重みで釣り合いがとれているけれど、もっと線の太い役者になってほしいなと思う。
せりふは良いし、*平馬返り(へいまがえり)も見事に決めて目を見張ったので、もうちょっと*押し出しの良い役者にならないかなあと見ていてじれったくなる。
片岡松之助(かたおか・まつのすけ)、松本幸雀(まつもと・こうじゃく)の老夫婦がよかった。孫・太郎吉(たろきち)に手を添えたりする仕草が何でもない様で温かみが出る。
*時代から世話に砕ける 語る時の調子に関する表現。時代物らしく武張って強く語る所から、世話物のように普段の会話らしく語る所へと変わる部分。堅い調子からカクッと柔らかい調子に移るとその落差に気持ちが持っていかれる。
youtubeのhttps://www.youtube.com/watch?v=VIxvSsdwV68 で仁左衛門の実盛物語を見ることができる。
36分44秒から語り始める。37分14秒に「浮いつ~」がある。
*平馬返り 瀬尾は自分で自分の首を斬って果てる。その時、両手で刀を首の後ろに回し、片膝立ちでしゃがんだ格好のまま、その場で前方にヒョイと空中回転して倒れる。分厚い衣装を来てするので誰でもできるわけではない。ただ後ろに倒れるだけの役者もいる。youtubeは倒れるだけ。
*押し出しの良い 歌舞伎役者を褒めるのによく使われる。存在感のある立派な風采。
「若き日の信長」
海老蔵の信長。歌舞伎座では初めてとあったのを読んで検索かけたら、2011年大阪松竹座で見ていたのを歌舞伎座だと記憶違いしていた。
その11年の舞台はそうひどくはなかったと覚えているが、今回もそれなりに。
信長に密かに心を寄せる片岡孝太郎(かたおか・たかたろう)の弥生(やよい)の着物のセンスが今一つ。
柄が大きすぎて小柄なからだと釣り合いがとれない。
背中に垂らした長い髪を包む袋が赤で帯が橙色。ちょっと背を向けた時に、この二色が目に入るのは、しっとりした場面に不似合だったなあ。
「御所五郎蔵 ごしょのごろぞう」
*留め男に片岡仁左衛門(かたおか・にざえもん)という*ご馳走。尾上菊五郎(おのえ・きくごろう)、市川左團次(いちかわ・さだんじ)の真ん中に仁左が出ると、*この並びだと團十郎、菊五郎、仁左だったらなフト思ってしまう。
この*絵面が華やかで、ほかは印象薄かった。
傾城皐月(けいせい・さつき)が中村魁春(なかむら・かいしゅん)だったので、なんとも地味で私の気持ちが入らなかったこともある。
*留め男 喧嘩の仲裁に入る男。喧嘩をしている二人の間にからだを入れてピシャリと喧嘩を止めるので恰好良い。止めた瞬間に三人が横並びになるので、役者が揃うとこれだけで拍手が来る。
*ご馳走 主役を張るような役者が、本来はやらない軽い役を勤める時のことを言う。
*この並び 今回、菊五郎、仁左衛門、左團次と並んだが、左團次は脇の重要な役にまわることの多い役者なので、ちょっと違う。亡くなった團十郎が入ると、芯を勤める役者が三人揃いより立派な並びになるはずだった。
*絵面 役者それぞれが決まりの位置に止まって一幅の絵のように、きれいに形が決まること。
お弁当は三越地下 青山の鯛おにぎり¥584
「実盛物語 さねもり・ものがたり」
市川染五郎の実盛は淡泊。
小万から白幡を取った時の様子を語るところに抑揚がない。*時代から世話に砕ける「浮いつ沈みつ泳ぎ来る、泳ぎ参ると思し召せ」
と言うところも、葵御前(あおい・ごぜん)へ話しかける「泳ぎ参ると」で音量が小さくなるだけなのだ。なので聞いているうちにボ~ッとなってきてしまう。
瀬尾(せのお)に中村亀鶴(なかむら・きかく)。染五郎の実盛の線が細いので、今の亀鶴位の重みで釣り合いがとれているけれど、もっと線の太い役者になってほしいなと思う。
せりふは良いし、*平馬返り(へいまがえり)も見事に決めて目を見張ったので、もうちょっと*押し出しの良い役者にならないかなあと見ていてじれったくなる。
片岡松之助(かたおか・まつのすけ)、松本幸雀(まつもと・こうじゃく)の老夫婦がよかった。孫・太郎吉(たろきち)に手を添えたりする仕草が何でもない様で温かみが出る。
*時代から世話に砕ける 語る時の調子に関する表現。時代物らしく武張って強く語る所から、世話物のように普段の会話らしく語る所へと変わる部分。堅い調子からカクッと柔らかい調子に移るとその落差に気持ちが持っていかれる。
youtubeのhttps://www.youtube.com/watch?v=VIxvSsdwV68 で仁左衛門の実盛物語を見ることができる。
36分44秒から語り始める。37分14秒に「浮いつ~」がある。
*平馬返り 瀬尾は自分で自分の首を斬って果てる。その時、両手で刀を首の後ろに回し、片膝立ちでしゃがんだ格好のまま、その場で前方にヒョイと空中回転して倒れる。分厚い衣装を来てするので誰でもできるわけではない。ただ後ろに倒れるだけの役者もいる。youtubeは倒れるだけ。
*押し出しの良い 歌舞伎役者を褒めるのによく使われる。存在感のある立派な風采。
「若き日の信長」
海老蔵の信長。歌舞伎座では初めてとあったのを読んで検索かけたら、2011年大阪松竹座で見ていたのを歌舞伎座だと記憶違いしていた。
その11年の舞台はそうひどくはなかったと覚えているが、今回もそれなりに。
信長に密かに心を寄せる片岡孝太郎(かたおか・たかたろう)の弥生(やよい)の着物のセンスが今一つ。
柄が大きすぎて小柄なからだと釣り合いがとれない。
背中に垂らした長い髪を包む袋が赤で帯が橙色。ちょっと背を向けた時に、この二色が目に入るのは、しっとりした場面に不似合だったなあ。
「御所五郎蔵 ごしょのごろぞう」
*留め男に片岡仁左衛門(かたおか・にざえもん)という*ご馳走。尾上菊五郎(おのえ・きくごろう)、市川左團次(いちかわ・さだんじ)の真ん中に仁左が出ると、*この並びだと團十郎、菊五郎、仁左だったらなフト思ってしまう。
この*絵面が華やかで、ほかは印象薄かった。
傾城皐月(けいせい・さつき)が中村魁春(なかむら・かいしゅん)だったので、なんとも地味で私の気持ちが入らなかったこともある。
*留め男 喧嘩の仲裁に入る男。喧嘩をしている二人の間にからだを入れてピシャリと喧嘩を止めるので恰好良い。止めた瞬間に三人が横並びになるので、役者が揃うとこれだけで拍手が来る。
*ご馳走 主役を張るような役者が、本来はやらない軽い役を勤める時のことを言う。
*この並び 今回、菊五郎、仁左衛門、左團次と並んだが、左團次は脇の重要な役にまわることの多い役者なので、ちょっと違う。亡くなった團十郎が入ると、芯を勤める役者が三人揃いより立派な並びになるはずだった。
*絵面 役者それぞれが決まりの位置に止まって一幅の絵のように、きれいに形が決まること。
お弁当は三越地下 青山の鯛おにぎり¥584