10月15日木曜日 14:30
新橋演舞場

宙乗りはもちろん、アニメ映像、プロジェクションマッピング、くじらの風船とみどころ満載。
ワイワイ楽しくみていられるところが多い。

けれど、これは原作の漫画がそうなのか、仲間意識の称賛や父子の愛情の強さを賛美する言葉が耳に心地よく、なれど危ういものを含んでいる。
老婆みたいなつるが「ルフィたちは戦うために何も持っていないけれど、それを補う心がある」という様なことを言って褒めるが、それはそのまま第二次世界大戦の精神主義だし、そうみると勝算なしに仲間を助けると言って飛び込んでいくのは特攻精神だものなあ。

海賊というアウトローが悪を退治する構図にしては屈託がない話しだ。なのでストーリーに感動しないけれど装置などに感心するのはヤマトタケルと同じ。

ルフィが波乗りボードを手渡されて波の絵と共に花道まで引っ張られていくおかしみから、宙乗りになり「TE TO TE」というテーマソングに乗って、客席を斜めに横断するのと同時に、背景かと思ったくじらが巨大風船で、二階客席までフワフワと乗り込んでいく様子はあっぱれ。
壁には、北斎の〈神奈川沖浪裏〉の波と国芳の〈近江の国の勇婦於兼〉の雲みたいな映像が流れ、劇場全体が包み込まれてワクワク感は最高。

福士誠治のエースが火の術を使って戦うところでは、突如本火が出て来て驚く。何より、福士誠治のアクションに切れがあり、見得もきれいに決めるので爽快。彼は舞台映えのするプロポーションをしているので、とにかくカッコイイ。

氷にルフィを閉じ込めるフブキとか言う人物が、ロープアクションで宙を旋回するのにもビックリ。

猿之助のルフィ、巳之助のボン・クレー(盆暮れとどういうつながり?)、隼人のサンジ、浅野和之のイワンコフなど、よくぞここまで再現しましたといったキャラの質の高さは見事。

せりふに相田みつをの標語を聞いている様な感じがつきまとうのも、この芝居の特徴だったな。

お昼はかべすのおでん定食。ワンピース弁当を売っているのは知っていたけれど肉攻めのおかずを見てパス。
ルフィ