8月25日火曜日 17:30
国立小劇場
自主公演と名乗る役者が多い中、勉強会と控えめな印象の表題。
内容は、ぎっしり充実した勉強会だった。
「彦山権現誓助剱(ひこさんごんげん・ちかいのすけだち) 毛谷村(けやむら)」
24・25日2日間3回公演の最後。
六助(ろくすけ)役の中村歌昇(かしょう) 27歳、3回目の成果とは思えない程の充実ぶり。
出てきたときの表情の柔らかくて素敵なこと。本当に人がよさそうな笑顔だ。
一味斎後室(いちみさい・こうしつ) ・お幸(こう) に「親になってやる」と言われ、次に一味斎娘・お園(その) に「あなたの嫁だと」言われた瞬間の驚いた顔が柔らかくて、余裕があってよかった。
試合で自分が騙されたと知り、手ぬぐいを引き裂いて怒るところ、さらに、その騙した男(尾上松緑/おのえしょうろく の役)が師匠・一味斎の仇だったことを知って*青石を踏みつぶすところ、2回の怒りの爆発がはっきりとわかっておもしろかった。
お園も*力自慢だから、この芝居は色々なタイプの腕力が一つの見せどころになっているのだなというのも納得がいった。
歌昇のせりふが見事に糸に乗っていたので、これから義太夫物にも期待が出来る。
最後、弥三松を抱いて*決まった時には、彼が小柄なことなどすっかり消え去っていた。
勉強会では、いつもは大きな役が付かない脇の実力を見ることができるのも楽しみだ。
今回は2人も。
1人は一味斎後室・お幸の中村京紫(なかむらきょうし) 。線の細い可憐な容貌なので、年かさの役を務める感じには見えないが、セリフが実にしっかりしている。
六助に金を投げつけ、又受け取る間がよくて、そのやりとりがおもしろくなっていた。
もう1人は斧右衛門(おのえもん) 役の中村蝶十郎(なかむらちょうじゅうろう) 。からだを存分に使ってのびのび芝居をしていて、この役の滑稽味にも品があってよかった。
中村芝雀(しばじゃく) のお園は当たり前だが十分な出来映え。
虚無僧姿で山賊を追い払った後、花道奥を見やる時の姿、わざと男っぽく大きくみせる姿にちゃんと無理をしている大きさがあって、筋を知らなくてもこの虚無僧が変だと思わせるものがある。
玄関口を一歩入る時、つい女が出てしまって慌てて力強く踏み出すところなどもうまいもので、楽しくなる。
「船弁慶(ふなべんけい) 」
中村種之助(たねのすけ) の静御前・平知盛の霊
静の化粧がきれい。童顔を克服して美女になっている。特に眉の位置と描き方がよかった。
後半の知盛は、動けるだけ動いて溌剌。<恨み>という感じではないけれど、22歳のエネルギーがあふれていて気持ちよかった。
アンコールを促す拍手が続いたけれど幕は上がらず、そのまま終了。さっぱりしてこれもいいね。
配られたパンフに来年8月23日火曜日、24日水曜日の開催予告も出ている。これまた楽しみ。
*青石を踏みつぶす
舞台に敷いた所作板に仕掛けをし、盛り上がった石を踏むとメリメリと沈むようにできている。青石は庭石に使う石の一種。
*力自慢
お園が臼を一人で持ち上げてしまい、恥ずかしがるという場面がある。
*決まった時
ここぞというポイントや、芝居の最後、幕が下りるとき、お客さんに向かってキメのポーズをとる。そのことを<決まる>という。
国立小劇場
自主公演と名乗る役者が多い中、勉強会と控えめな印象の表題。
内容は、ぎっしり充実した勉強会だった。
「彦山権現誓助剱(ひこさんごんげん・ちかいのすけだち) 毛谷村(けやむら)」
24・25日2日間3回公演の最後。
六助(ろくすけ)役の中村歌昇(かしょう) 27歳、3回目の成果とは思えない程の充実ぶり。
出てきたときの表情の柔らかくて素敵なこと。本当に人がよさそうな笑顔だ。
一味斎後室(いちみさい・こうしつ) ・お幸(こう) に「親になってやる」と言われ、次に一味斎娘・お園(その) に「あなたの嫁だと」言われた瞬間の驚いた顔が柔らかくて、余裕があってよかった。
試合で自分が騙されたと知り、手ぬぐいを引き裂いて怒るところ、さらに、その騙した男(尾上松緑/おのえしょうろく の役)が師匠・一味斎の仇だったことを知って*青石を踏みつぶすところ、2回の怒りの爆発がはっきりとわかっておもしろかった。
お園も*力自慢だから、この芝居は色々なタイプの腕力が一つの見せどころになっているのだなというのも納得がいった。
歌昇のせりふが見事に糸に乗っていたので、これから義太夫物にも期待が出来る。
最後、弥三松を抱いて*決まった時には、彼が小柄なことなどすっかり消え去っていた。
勉強会では、いつもは大きな役が付かない脇の実力を見ることができるのも楽しみだ。
今回は2人も。
1人は一味斎後室・お幸の中村京紫(なかむらきょうし) 。線の細い可憐な容貌なので、年かさの役を務める感じには見えないが、セリフが実にしっかりしている。
六助に金を投げつけ、又受け取る間がよくて、そのやりとりがおもしろくなっていた。
もう1人は斧右衛門(おのえもん) 役の中村蝶十郎(なかむらちょうじゅうろう) 。からだを存分に使ってのびのび芝居をしていて、この役の滑稽味にも品があってよかった。
中村芝雀(しばじゃく) のお園は当たり前だが十分な出来映え。
虚無僧姿で山賊を追い払った後、花道奥を見やる時の姿、わざと男っぽく大きくみせる姿にちゃんと無理をしている大きさがあって、筋を知らなくてもこの虚無僧が変だと思わせるものがある。
玄関口を一歩入る時、つい女が出てしまって慌てて力強く踏み出すところなどもうまいもので、楽しくなる。
「船弁慶(ふなべんけい) 」
中村種之助(たねのすけ) の静御前・平知盛の霊
静の化粧がきれい。童顔を克服して美女になっている。特に眉の位置と描き方がよかった。
後半の知盛は、動けるだけ動いて溌剌。<恨み>という感じではないけれど、22歳のエネルギーがあふれていて気持ちよかった。
アンコールを促す拍手が続いたけれど幕は上がらず、そのまま終了。さっぱりしてこれもいいね。
配られたパンフに来年8月23日火曜日、24日水曜日の開催予告も出ている。これまた楽しみ。
*青石を踏みつぶす
舞台に敷いた所作板に仕掛けをし、盛り上がった石を踏むとメリメリと沈むようにできている。青石は庭石に使う石の一種。
*力自慢
お園が臼を一人で持ち上げてしまい、恥ずかしがるという場面がある。
*決まった時
ここぞというポイントや、芝居の最後、幕が下りるとき、お客さんに向かってキメのポーズをとる。そのことを<決まる>という。