8月7日月曜日
三代猿之助四十八撰の内
新・水滸伝(しん・すいこでん)

BGMを聞いていると、嗚呼、猿翁(えんおう)の芝居だなあと思う。
音量が大きくて圧が強い。

言っても詮無いことながら猿之助(えんのすけ)が主役・林冲(りんちゅう)を勤めたなら、線の太い迫力あるものになっていただろうなあと思わずにはいられない。

しかし中村隼人(なかむら・はやと)は隼人で彼が勤めると林冲が若いながらも思慮深い人柄に見える。
きちんと自分に引き付けて役を作れている。

中村壱太郎(なかむら・かずたろう)はおきゃんなお夜叉(おやしゃ)で狂言回しのような役どころ。生き生きとしていてかわいい

市川猿弥(いちかわ・えんや)の王英(おうえい)と市川笑也(いちかわ・えみや)の青華(せいか)のふたりで初々しいラブシーンを作り上げていたのはすごい。

松本幸四郎(まつもと・こうしろう)が最後の最後に、うれしそうに出て来て舞台を締める。

「替天行道」(てんにかわりて みちをおこなう)と書かれた巻物を大切に持っている役目が市川團子(いちかわ・だんこ)の役割。
突如「行道」ことになった人に象徴的な役割かと見てしまうのは勝手な思い入れ。

暑すぎる八月に「いいもの」と「わるいもの」がはっきりわかる芝居はいいものだ。