競馬場、競輪場、ボートにオートと日曜日には出かけていた。
色々連れて行かれる中で、好きで次も行きたいと
楽しみにしていたのは競馬場。
競馬場の中や周りの夏祭りのような出店での
食事も楽しみだった。フランクフルトやジュース。
モツは食べれないのだが、継ぎ足し継ぎ足しで
こげ茶色になっているモツ煮込みの中のこんにゃくと大根。
これがたまらなく美味しかった。味の染みこみは半端ない。
今でもいつか食べに行こうと思っているぐらいだ。
どのギャンブル場でも、そんな出店はあるのだが
午年生まれのせいか、動物が好きだからか、レースが
始まる前の競争馬のパドック見物が好きだった。
馬を見に行きたかったのだ。
オヤジの誘い文句もこんな感じ。
「お馬さん見に行くか?」
太陽の下で馬の毛並みはスベスベに見えキラキラ輝いていた。
時折大きな糞を落とす馬もいるのだが、そこはご愛嬌。
風にサラサラ揺れるたてがみも美しかった。
自分も父親も赤毛のせいか、好きな馬の色は焦げ茶色で
鼻筋に白いラインが入っている馬。
競馬用語では鹿毛の星入りってところか。
初めて覚えた馬の名前は当時のアイドル「ハイセイコー」
人気の馬で歌まで発売された。これは今でも歌える。
「さらばハイセイコー」
http://www.youtube.com/watch?v=TNzZcCTc9Hc&feature=related
競馬場では大人がハズレてばら撒いた馬券を拾い
色とりどりの色分けの種類集めに夢中になった。
当時の馬券は1枚100円だかで1000円なら10枚だ。
1万円買えば束になる。
薄いペラペラの紙に上下がレースごとに色分けされていて
2-4などの番号はいくつもの小さな穴で形作られている代物だった。
その数字や色を全種類集めたいという、まぁ折り紙集めのようなもので
幼い私には、何故だか楽しかったのだ。
新聞に記入するため、大人が耳に挟む朱色の色鉛筆もよく拾った。
水色のキャップがついているのもあれば、少し長めで
半分が紺色の色鉛筆になっているお得なものもあった。
どちらも塗りえの色鉛筆の赤と青ではないのだが
学校の筆箱にも平気で入れて使っていた。
帰宅して今日の戦利品を広げて並べなおし遊んでいると
一度はオヤジが取り上げてチェックする。
もしや当たり馬券があるかもしれぬ、から生まれた行動だろう。
しかし、そんなものは1枚たりとて入っていた試しはなかった。
小学校にあがり、2年、3年となって近所に学校の
友達が出きるとオヤジに着いて行くのが次第に減っていき
しまいには行かなくなった。
今思えば、父親が娘と遊べる期間は短いものだ。
帰ってきたオヤジの話を聞きながら、今日のレースの
ニュースを見るぐらいしか競馬に触れなくなったが
社会に出て知り合った友人が、これまた競馬好きだったので
また競馬情報に詳しくなった。
その頃好きだったのは「トウカイテイオー」
お坊ちゃま馬が、幾度も怪我をしながらも1年の休み明けに
起こした奇跡の優勝!これには今でも涙する。
「トウカイテイオー奇跡の復活 1993 有馬記念」
http://www.youtube.com/watch?v=pADzOTVvpZI&feature=related
しかも私の好きな色と星だ。
歴代で一番好きな馬は?と聞かれれば「トウカイテイオー」と答える。
「トウカイテイオー」

黒い馬もきれいだなと思えたのは、この映画を見てからだ。
「少年の黒い馬」

船が遭難し無人島で生き残った少年と馬の物語。
この少年の暮らしが羨ましいと思ったものだ。
もう競馬場に行くこともなく、テレビでレースを見ることもないが
めったに行かないオヤジの墓参りの道すがらにある、乗馬クラブの
馬が見える道を通ると、いつか馬に乗りたいなと思う。
子供の頃に願った、あのキラキラした毛並みにいつか触れる日を夢みて。