道すがら、ついつい手に触れる高さにあるから
フワフワして気持ち良さそうだから
ブチっと摘んでは、振り回しつつ家路を辿る。
そんな帰り道の相棒「ねこじゃらし」
子供時代って何で一人でいると、鼻歌歌っちゃうんだろう。
ふんふふんって、自主制作のメロディーだったり。
一人でいる不安や寂しさを、紛らわせているのかな。
ねこじゃらしも、ある意味そんな役割があったのかもね。
でも親か近所のお兄ちゃんに教わった、動くねこじゃらしは
知らない友達に披露して、笑顔が見れると嬉しかったな。
穂先のふわふわだけ千切り、逆さまにそっと握って
グニグニすると、ズンズンズンって上に上がってくる。
ただそれだけなのに、不思議で面白かった。
何回も何回も遊べる。
時に、その穂先をビーっと爪できれいに剥ぎ取っては
ただ単純な爽快感と満足感を得る。
たまにしっぺ返しを喰らい、引き抜く時にその鋭い葉で
スーっと手の平や指を浅く切ったりする。
彼らも黙ってやられちゃいないやね。
大人になって猫を飼いだした頃、本当にその名の通り
ねこがじゃれるのか試したが、我が家に来た子猫は
思いっきりじゃれてくれた。
名前に嘘はなかったよ。
そして中年になった今でも、急いでない道すがらには
その柔らかな、ねこじゃらしの穂先を触ってしまう。
誰もいない時には鼻歌さえも。