熨斗目斑螟蛾(ノシメマダラメイガ) | ふと、思うこと

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猫と美味しい食事で日々乗り切ってるアラカンおばさんの日常ブログです

米びつに湧く蛾の幼虫を、家では「コメガ」と言っていた。
本当は「ノシメマダラメイガ」難しい漢字を書くんだね。

小学生になり、母親の手伝いをするようになり、
玄関掃きや水遣りなどの簡単作業を覚え
次に任されたのが、お米研ぎと炊飯器スイッチポン!
昔の電気釜は研いですぐスイッチは入れず、しばし
米に水を吸わせるので、夕飯前にやっておかねばならなかった。

それを、夕方の母親がパートから戻ってくるまでに終わらせるのだ。

初夏のある日、米びつから3合の米を出し、水を入れて研いでいると

ぷっ。ぷっ。ぷっ。

何やら小さいものが水の中から浮いてくる。
顔を近づけて覗き込んだら「ひっ!」小さい幼虫だった。
引っ込めた手をよそに、次々に水面に浮いてくる。
体をくねらせたその風貌は、小さな蛆虫みたいだ。

一変に怖くなり、釜の中の米も虫もそのままに
私は部屋に引きこもってしまった。

しばらくして母親が戻り、やりかけのそれを見て
私をこっぴどく叱り始めた。

虫が出て怖かった。それは何?もう嫌だ!ご飯いらない。

そんな私の訴えも聞く耳持たずで、母親の気が済むまで
小言を聞き続けるしかなかった。いつもそう。

これはお米に湧く虫で害はないのだ、と言っていたが
生まれつきご飯が好きではない私は、もうこの時の恐怖から立ち直れず、
少しはふりかけで食べれていたご飯だったのに、この日から
今ある米びつの米がなくなるまで、一切ご飯を食べれなかった。

物心ついた時から、米が炊ける匂いに吐き気を覚え
パンの仕込みの発酵時の匂いにも、甘味屋さんの
早朝の仕込みのあずきを炊く匂いにも
具合が悪くなる体質だった。変な子ねと、よく言われた。

ちなみに両親共に、米は普通に食べる。
母親は新潟出身だし、父親は埼玉で実家は農家だったから
米嫌いの遺伝子がどこから入ったのかわからない。

そして成長と共に、おかずとご飯の組み合わせの美味しさを知り
段々と食べれるようになり、今では丼飯でもいけるようになった。
でもやはり基本は普通の人より、ご飯を食べる回数は少ないと思う。

今回の入院中の2ヵ月半、3食白いご飯を毎日食べ続けたのが、
人生で初だった。


そういや米びつの周りを小さな薄茶の蛾が飛んでいたが
今思えば、あれが成虫だったのだ。米びつから巣だっていたのだな。

そして農薬まみれではない、普通の美味しいお米だったってことだ。

知識がついて大人になってからは、米は冷蔵庫に入れている。
今でも水から出てこられたら食べれる自信がない。