Y字の枝の間に巣をくっつけて、蝉捕りをした夏。
蜘蛛の巣で虫を捕ると、蝶も蝉も羽を痛めず
逃げられることもなく、きれいに捕まえられた。
でも、たまに逃げられてしまい、頭から
蝉のションベンをかけられたりもした。
アブラゼミは、でかかった。
ミンミンゼミは、たくさんいた。
ヒグラシは、きれいな薄い緑。
ツクツクボウシが鳴き出せば、もう夏休みも終わり。
生垣の下の土の上や、道端のコンクリートのドブの蓋の上にも
季節の間は、動かなくなってしまった蝉や抜け殻が落ちていた。
抜け殻をいくつも拾い集めて、ビニール袋をいっぱいにした。
家に帰るとその中から、足が綺麗に揃って、背中の割れ目が綺麗で
顔も綺麗なものを選んで、大事に机の引き出しにしまったりする。
夏の宝物。
一方、捕まえた蝉は、緑のプラスチックのカゴに入れられ
ミンミンうるさい鳴き声を聞きながら、暫く眺め
ある程度満足した頃、ちょうど夕飯の時間となり
縁側に置いたまま忘れてしまう。
翌日になって気づいてのぞくと、もう中でコロンと死んでいる。
カゴを持ってカラカラ振って、動かないことを再度確認したりする。
少し大きくなってから、鳴いている蝉の寿命が2週間と知る。
何年も土の中にいて、やっと出てきたところを自分に捕まり
その一生が終わってしまったんだと気づくと、蝉捕りをしなくなった。
蝉のお墓が、カブトムシと書かれたアイスの棒の横に並ぶ。
