自殺所~その後~ | 置き場

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取り壊すには金がかかる。
しかし残しておくのはあまりに危険。
それはまた死んでいく人が居るかもしれない。
ただの憶測に過ぎないが。

そんな事をコメンテーターがしゃべっている。
「ねぇ。ここ落ち着いたら行って死ねるかなーもう人生疲れたよ」

「死にたい」

「疲れた」

そんな声が日本全体を覆う。
取り壊しても新たに建設するかもしれない。
或いは電車に飛び込み。
飛び降り。

こうした少しの時間にも悩みつかれた人が死んでいく。
そして新たな命が生まれてくる。

ここは自殺所。
生きていたくなくなったら行く場所。
いらっしゃいませ。
ここは自殺所です。
私ですか?
鮎川芳樹といいます。
この世界でも受付をしています。



「こんなんでいいですか?」
田淵総一郎は小説を渡し言った。
「いいんじゃないかな。じゃもって行くよ」



そうこれはありも無い話。
物語。
空想。
全ては田淵総一郎が作り出した妄想。
しかし現実世界では日々自殺は繰り返されている。
自殺所はないにしろ自殺は毎日行われている。
これでいいのか。
それでいいのか。
そんなこと本人にしかわからない。
いや、本人にもわからないことだってある。
でも選ぶのは本人。
そう思った。

とあとがきに記して。

田淵総一郎。