チベット仏教への(私の)偏見と、中松&苫米地のインチキ疑惑
チベット仏教について、初めて勉強している。
『新アジア仏教史09 チベット 須弥山の仏教世界』(佼成出版)を読みつつ、
朝日カルチャーでの斎藤明先生の仏教史講座もちょうどチベット仏教に突入したので、
これで基礎はわかるかも、と安直に構えている。
チベット仏教について何にも知らなかったので、新鮮だ。
実は今まで、チベット仏教に対して、ちょいと偏見を持っていた。
後期密教の「無上瑜伽タントラ」=エロい黒魔術みたいな印象があって、前に行ったポタラ宮の美術展もエロエロで呪術的だったし、
これは仏教としてどういうものなのか、よくわからなかった。
でも、今のチベット仏教の主流であるゲルク派なんかも、
すっごいスクエアに学問するんですってね。
斎藤先生の講義資料によると、チベットの僧院での学習内容は
(大正期にチベットで10年間修行した多田等観著
『チベット』岩波新書による?)
<5教科13階級>
・ 仏教論理学3年(3学級)ダルマキールティ『認識手段評釈』
・ 般若学4年(5学級)ハリバドラ『現観荘厳注』
・ 中観学 4年(2学級)チュアンドラキールティ『入中論』
・ 戒律学 4年(2学級)グタプラバ『律経』
・ 倶舎学 4年(1学級)ヴェスバンドゥ『倶舎論』
要するに、経より論書を中心に、20年ぐらいゴリゴリに勉強するらしい。
それで得られる階位の一番上が、ラマ(上人=アーチャリヤ=阿闍梨)。
そこでふと思いだすのが、ドクター中松と苫米地英人の1件です。
2010年に、ドクター中松と苫米地がチベットに行って、
何の修行もしてないのにゲルク派のトップであるガンデン・ティパ師から「阿闍梨」の称号をもらった、と公言し、
中松はそれをウリに幸福実現党から参院選に出たんですね。
称号をカネで買ったんだろうな、チベット独立資金のために阿闍梨を売ってるんだろうな、と私は哀しい気持ちにあり、それもチベット仏教への偏見につながっていた。
ところが、今回調べてみたら、どうも中松&苫米地の言うことはインチキだ、という説がある。
ダライ・ラマ法王日本代表部事務所が、ガンデン座主からの文書として、「そんな称号は授けてない」と公式に発表してるのです。
また、苫米地を含むと思われる「複数の日本人に阿闍梨を授与した事実はない」という発表もされています。
http://www.tibethouse.jp/news_release/2010/100730_gaden.html
http://www.tibethouse.jp/news_release/2010/100928_warning.html
なんなんだよー!
(チベット側の言い分が正しいならば)中松&苫米地は、見るからにうさんくさい人が本当にうさんくさかった、というだけの話なんだが、幸福実現党は特に関知してませんという態度だし、苫米地の本は相変わらず読む人がいるしサイゾーのオーナーだし。
ともあれ、チベット仏教についての偏見は、私の誤りだったようです。ごめんなさい。

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