『上座部仏教の思想形成』がやっと増刷された | 釈迦牟尼スーパースター ~仏教のつれづれ~

『上座部仏教の思想形成』がやっと増刷された

 

いまどき手に入らない本があんのか?という時代に、手に入らなかった本『上座部仏教の思想形成 ブッダからブッダゴーサへ』(馬場/紀寿先生著、春秋社、2008年)が、ようやく増刷された。そして今日、私の手元に届いた。YEEEES

 


私たち素人が「お釈迦さまはこう言った」とか「(本来の仏教、というニュアンスで)初期仏教では」と言うとき、それはだいたいパーリ語の仏典を引っ張っている。
 

 素人としてはそう考えるしかないんだけど、実際そうかというと、ことはそう単純ではないらしい。「お釈迦さまはこう言った」を正確に言えば、「スリランカ上座部大寺派のパーリ正典にこう書いてある」ということになる。

 

じゃあ、そのパーリ正典と上座部の思想は、どうやってできたの?ということを解き明かした労作が、この本だ。  ね、“初期仏教”ファンなら読みたくなるでしょ?

   

  この本によると、上座部仏教の独自性を確立したのは、なんと5世紀の、ブッダゴーサという注釈家だった。「上座部仏教のみが仏陀の正嫡だとする立場を覆す画期的研究」(版元のHP)だそうです。

パーリ正典ロマン派にとっては不快かもしれないね。

   

 これは、若くて面白い馬場紀寿先生(1973年生まれ、東京大学東洋文化研究所助教)の博士論文がもとになっているから、まごうことなき専門書なんだけど、パラパラ見た範囲では、私でもなんとか理解できそうだった。

   

 もうとにかく、版元にもない、図書館にもない、古本屋にもない、アマゾンの中古で68000円というフザけた値がついている、という状態が長らくあって、私のウィッシュリストで寂しく眠っていたのです。それがやっと増刷されて、定価9300円が安く見えちゃいましたよ。いつまた品切れになるかわからないので、興味があれば早めに買ったほうがいいですよ。


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上座部仏教の思想形成―ブッダからブッダゴーサへ



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