『シリーズ大乗仏教4 智慧/世界/ことば』がめちゃくちゃ面白い
5月に出た『シリーズ大乗仏教4 智慧/世界/ことば』(春秋社)をやっと読み始めた。
まだ第1章「初期大乗経典のあらたな理解に向けて 大乗仏教起源再考」(下田正弘先生)を読み終わっただけだが、すごくエキサイティング。(メモを作ったけど、人様にお見せできる状態ではない・・・)
とりあえず、以下のように思っている人は、すべて気持ちいいぐらいにひっくり返されます。
・ パーリ仏典がお釈迦さまが説いた“ほんとの仏教”、大乗仏典は創作でインチキだ
・ スリランカのテーラワーダのお坊さんが言ってることが“ほんとの仏教”だ
・ 仏典や仏伝から、当時の歴史的な事実、たとえば“実在した人間ブッダの姿”を読み取れる
・ 大昔、僧院では出家者が静かに孤高の修行生活をしてて、在家者は仏塔に集まってガチャガチャやっていた
・ 大乗仏典を作って保持したのは、伝統教団とは別のグループだったり、辺境の人だったり、在家者だったり、つまり傍流である
最近の考古学的な発見・研究などを挙げながら、こういう偏見がいかに仏教理解をゆがめてきたか、という論が第1章で100ページ近く展開されている。
私も過去のブログに、上のとおりのことを書いてて恥ずかしく、削除したいけど、めんどくさい。
ただ、プロ仏教学者の世界でも、上記のような見方は長らく(今でも?)あるそうだ。そのことに、下田先生は怒り狂っておられる(ように読める)。
この巻は、般若経、華厳経、法華経という大物三役が取り上げられていて、中ぐらいの仏教ファンなら必読ではないかと。けっこう難しいですけど。