お釈迦さま=エチオピア人説(『虚無の信仰』その1)
『虚無の信仰 -西欧はなぜ仏教を怖れたか―』(トランスビュー、2002年、著:ロジェ=ポル・ドロワ著1997年、 訳:島田裕巳・田桐正彦)
という本を読み終わった。めちゃくちゃ面白かった。
一言で言うと・・・アジア各地で見られる偶像崇拝がどうも同じ宗教らしい、として、フランスで「仏教」と命名されたのが1820年頃。その前後に、まずブッダの正体をめぐる奇説・珍説が飛び交う。やがて、仏教は「涅槃=魂の消滅」を目的とするおぞましい宗教だとして、キリスト教者や東洋学者らのあいだで、罵詈雑言を浴びせる・恐怖する・逆に熱烈支持するなど大騒ぎになったという、19世紀ヨーロッパでの悲喜劇が書かれている。
版元のサイトで本文の一部が読めます
↓
http://www.transview.co.jp/05/top.htm
◆ブッダは何者?
・ブッダはエチオピア人(髪が縮れてるから)
・ブッダはローマの神・メルクリウスと同一(メルクリウスの日は水曜
日、パーリ語サンスクリット語を祖語とする諸言語で水曜日は「ブダ
ー」だから)
・ブッダは北欧神話のウォーダンと同一
・ブッダは2人いる(バラモン教より古い神・バウートと、後のブッダ)
などのトンデモ説には噴き出してしまった。例えば、ブッダはエチオピア人で、エジプトで「モーセ五書」を解読し、インド経由で日本に行った、なんて説まであったという。
しかしブッダの国籍ぐらいは、日本や中国で研究されてなかったんですかね? 西欧人が訊ねようともしなかったんですかね?
けれど、「涅槃=魂の消滅」だとして、“陰鬱で薄気味悪いブッダ”像が出てくるあたりから、読んでる側も呑気に笑っていられなくなる。
続きは後日。