大乗仏教はどう始まったのか?の最新研究(「シリーズ大乗仏教」1)
仏教と音楽(特にピアノ)という素晴らしすぎる分野の良書を
たくさん出している出版社、春秋社。
ここから、昨年来「シリーズ大乗仏教」全10巻が刊行されている。
とりあえず1巻・2巻を買って、1巻を読み始めた。
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シリーズ大乗仏教 第1巻 大乗仏教とは何か
1章 大乗仏教とは何か(斎藤明)
2章 経典研究の展開から見た大乗仏教(下田正弘)
3章 大乗仏教起源論の展望(佐々木閑)
4章 大乗仏説論の一断面ー「大乗荘厳経典」の視点から(藤田祥道)
5章 アフガニスタン写本から見た大乗仏教(松田和信)
6章 漢語世界から照らされる仏教(下田正弘/ジャン・ナティエ 宮崎展昌訳)
7章 中国における教判の形成と展開(藤井淳)
8章 インド仏教思想史における大乗仏教 無と有との対話(桂紹隆)
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第2巻は「大乗仏教の誕生」。
参考文献で横文字がブワーッと並ぶような本だけれど、
論文集というわけでもなくて、
わたしぐらいのシロート知識レベルでもわかるし、面白い。
目安としては、「説一切有部」と聞いて「ああ、あれね」
というぐらいの人には面白いと思う。
1981年から同社で出版された「講座大乗仏教」というシリーズが
大乗仏教の入門書として大定番だったらしく、
その後めざましく進んだ大乗仏教研究の成果をまとめるべく、
編まれたシリーズなんですって。
古本で20年、30年前の仏教書を読んだりするのだけれど、
「この説って、その後、遺跡の発掘とかで変わってたりして?」という
一抹の不安を感じる人に、直近の研究成果がわかる本として、
このシリーズはよろしいんじゃないでしょうか。
大乗仏典を読んで、その初期仏典(阿含経)とのあまりの違いに、
いったい誰がどうやって「阿弥陀仏」を思いついたり
「お釈迦さまは死んでない」みたいなことを言い出したのか。
大乗仏教の始まり方は一大歴史ミステリー。
でも、この本を読んで癒されたりなんぞはしませんので、
上記の章タイトルを見て「おいしそー」と思った方は
お買いになるとよいと思います。