春秋社版『原始仏典 相応部』がリリース開始
『ブッダ最後の旅』再読のメモ。
お釈迦さまが沙羅双樹の間に横たわったときの描写が
あんまりにも美しいので、そのまま書き写してしまいます。
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さて、そのとき沙羅双樹が、時ならぬのに花が咲き、満開となった。
それらの花は、修行者に供養するために、修行者の体にふりかかり、
降り注ぎ、散り注いだ。
また天のマンダーラヴァ華は虚空から降って来て、
修行者に供養するために、修行者の体にふりかかり、
降り注ぎ、散り注いだ。
天の栴檀の粉末は虚空から降ってきて、
修行者に供養するために、修行者の体にふりかかり、
降り注ぎ、散り注いだ。
天の楽器は、修行者に供養するために、虚空に奏でられた。
天の合唱は、修行者に供養するために、虚空に起こった。
(『ブッダ最後の旅』岩波文庫 中村元訳)
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お釈迦さまの供養は、天のフラワー葬・音楽葬だったんですねえ。
と思ったら、1年以上前のブログにもここを書き写してあり、
わたしはよほどここが好きと見える。
(そのときマンダーラヴァ華の写真を間違えて載せてたっぽい)
註によるとマンダーラヴァ華は、デイコという植物で、
木に深紅色の花が咲くそうです。どうも沖縄の県花らしいです。
涅槃図を見ると、大勢の弟子や神々に囲まれた入滅シーンは
クライマックス的に描かれているけれども、註を見ると、
現実にはもっとひっそりと亡くなったんじゃないでしょうか。
「尊師は、こんな小さな町、竹薮の町、場末の町で
お亡くなりになりますな」、もっと富裕な信者のいる大都市で
亡くなってください、とアーナンダは嘆いています。
(本当に最後までこの人は人間くさくていいなあ)。
よく知られている、お釈迦さまの最後のことばはこうです。
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「さあ、修行僧たちよ。お前たちに告げよう。
『もろもろの事象は過ぎ去るものである。
怠けることなく修行を完成なさい』と」。
(同上)
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腹が立ったり落ち込んだり焦ったりしたとき、
この言葉を反芻しよう、それで十分だ、とさえ思います。
さて、パーリ語仏典の長部・中部の現代語訳が出ている
春秋社の『原始仏典』シリーズですが、
この11月30日から相応部のリリースが始まりました!
(中村元監修、前田専学編集)。
すでに出ている『パーリ仏典 相応部』(大蔵出版、片山一良訳)より